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令和3年度施政方針

印刷用ページを表示する更新日:2021年3月1日更新 <外部リンク>

令和3年度施政方針 [PDFファイル/671KB]

目次

【時代認識と市政理念】
【五つの行動】

  1. 超高齢化社会の克服
  2. 子育て環境の向上と教育の充実
  3. 地域の資源を活かした地元産業の活性化
    (1)農畜水産業と観光の結合
    ・美食を中心にした淡路島ブランド力の向上
     食材生産の基盤である農畜産業
     良質な漁場の再生で蘇る水産業
    ・一期一会を支える観光産業の活性化
    (2)地域商工業の再活性化
  4. 安全・安心のまちづくり
  5. 「対話と行動の行政」の実現によるまちづくり

【令和3年度 歳入歳出予算】
【結びに】

時代認識と市政理念

 第101回南あわじ市議会定例会の開会にあたり、議員各位のご健勝をお喜び申し上げ、日頃のご精励ご活躍に対し、敬意と感謝の意を表します。

 昨年を代表する漢字は「密」でした。中国で発見された新型コロナウイルス感染症が瞬く間に広がり、猛威を振るう感染症の拡大を防ぐべく、世界中でロックダウンや入国制限等の措置が今も続いています。

 本市においても、コロナ禍の影響は甚大でした。昨年1月末、ここまで波及しないことを祈りつつ、新型コロナウイルス感染症連絡会議を設置しました。願いむなしく、4月7日、兵庫県をも含めて国の緊急事態宣言が出されました。その後、本市でも感染が散発的に確認されることになりました。

 本市では、緊急事態宣言の翌日、対策本部において、市民生活、教育・保育、経済産業、業務継続対策、感染予防支援、広報周知支援の六つの対策チームを設置しました。各チームは、感染予防の幅広い広報、市民生活や産業の実態を踏まえた対応策の立案と実行、長期休校を踏まえた学校の対応等、総力を上げた活動を開始しました。

 外出自粛による住民生活の不便と不安、観光客の急減、農畜水産物の消費と価格の低迷など市民生活や経済への影響も拡大していきました。本市では、4月16日決定の第1次緊急総合対策にはじまり、三次にわたり切れ目なく対策を実施してまいりました。

 対策は、まず市民の皆様の不安感を緩和すること、国や県の手厚い支援策を最大限に活用し、その隙間を市が埋めることを基本に据えました。このため、ゴールデンウィークを返上しての問い合わせ窓口開設や、特別定額給付金事業の全国に先駆けた給付などに職員一丸となって取組みました。教育面でも、休校中の教育動画の配信や遠隔授業含め、現場教員による細やかな児童生徒への配慮に力を入れました。

 ダメージを受けた経済回復への取組み、飲食宿泊半額事業「ジモ得」は、のべ12万人を超える方々にご利用をいただきました。市内の食材調達や交通はじめ周辺事業への波及含めて5億円を超える経済効果とともに、飲食店等の感染予防対策の普及に大きな効果がありました。地元食材のインターネット販売「島のおすそわけプロジェクト」も、淡路島の食材にふれる機会の拡大に寄与できました。その後もプレミアム付き商品券やキャッシュレス決済のポイント付与、市独自の事業持続支援金などを実施し、切れ目のない施策展開に努めています。

 今回の経験から、新型コロナウイルス感染症は、今後も我々の生活スタイルや経済の在り方、更には人の価値観にも大きな影響を与え続けることを感じました。同時に、この南あわじ市の力、可能性の大きさを改めて認識させてもくれました。それは、次のような点です。

 第一に、コミュニティの大切さの再認識です。

 まず、感染防止の面です。一人の努力では、ウイルス感染を防ぐことはできません。わが身を守るためには、自分自身が手洗いやマスク等の感染防止に十分注意するだけでなく、周囲の人々も同様に、うつらない、うつさない行動をとり拡大を防ぐ必要があります。また、感染された方や医療関係者等への心ない誹謗中傷を防ぎ、地域全体が運命共同体となっているという意識で取組むことが必要です。

 次に、健康維持の視点です。とりわけ高齢者の心身の健康を保つ上で、最も重要な要素である人との交流が制約を受けています。そうした中、感染防止に留意しながら、交流活動を継続できる地域とそうでない地域では、今後の市民の健康状態に大きな差が出てきます。

 経済活動においても、地域の経済循環の大切さが浮き彫りになりました。域外との交流が制限される中、住民による消費が重要となりました。従来、得意なものを大量に作り、域外に移出するスケールメリットが強調されてきましたが、域外の需要のみに依存するのではなく、地域の需要ときめ細かくつながった生産、すなわち地産地消にも基盤を持つことの大切さが再認識されたと思います。

 この三点において、本市はどうだったでしょうか。住民の皆様が注意深く感染予防に努められ、感染者が出た場合も、ご家族も含めて感染拡大は最小限にとどまり、市中感染は殆ど発生していません。SNS等での誹謗中傷も極めて少なく、思いやりの心が行き届いていることが感じられました。感染防止策をとりながら、百歳体操などの活動は続けていただいていますし、ジモ得では、その趣旨を汲んで多くの方が利用してくださいました。コミュニティ力の強さという本市の強みが遺憾なく発揮されたと感じました。

 第二に、行政における地方と国との関係の変化です。かつて、欧米先進国に追いつけ追い越せの時代には、他国の経験を国が取り入れて地方に浸透させるトップダウンが有効でした。しかし、我が国の高齢化が進み、巨大な課題先進国となった現在では、現場に近い自治体がまず解決策を模索し、その好事例を国が展開していくボトムアップが有効となります。今回の感染症は、その流れを加速しました。感染防止や経済回復に向けた支援などについて、自治体は、地域の実態に応じた施策を展開し、国は、使途の自由度が大きい交付金で支援しています。

 今回、私共が対策を講じるに当たっては、南あわじ市商工会、観光協会、あわじ島農協、各漁協などの産業界、社会福祉協議会や福祉関連の施設・団体、教育施設等から全面的なご協力をいただくとともに、市民の皆様からの活発なご意見、そして議会の強力なバックアップにより、まさにオール南あわじ市の体制で、実態に即した感染防止対策、経済対策に取組むことができました。このチームワークもまた南あわじ市の大きな強みと感じます。

 第三に、暮らす場、仕事の場としての地方の魅力の再認識です。

 感染症は、人口密度の高い都市部に集中的に発生しています。自然と、余裕ある生活の場としての地方の利点に注目が集まりました。通勤や職場での「密」を避けるテレワークの奨励がそれに拍車をかけました。試してみて、多くの人が、都市のオフィスだけが職場である必要はないと気づきました。むしろ、広々とした自宅や自然環境に恵まれた地方の職場で集中して仕事をする方が効率的との意識も高まっています。

 淡路島は、自然や文化、食の資源に恵まれた豊かな生活環境を持つ一方で、関西都市圏から至近距離にあり、首都圏とも鉄道・空路の太いアクセスがあります。昨年来、株式会社パソナが淡路島への一部本社移転を決定して話題となっていますが、そうした環境が評価されたからであると思います。

 この一年あまりの出来事は、特に都会に出ている若者達の「故郷」への想いを変える機会になったのではと感じます。帰省の自粛等により、都市で一人不安なお正月を過ごした若者も多数いました。互いに信頼できるコミュニティの中で過ごす安心感、自分の空間・時間を持てる快適さ、地元の食材を味わう幸せなどを改めて思いおこしたことでしょう。そしてまた、近い将来、故郷に住みながら、仕事で自分の夢を追うことができるという希望も。唱歌「ふるさと」には、「志を果たして、いつの日にか帰らん」というくだりがあります。私は、むしろ、ここが「志を果たしに、いつの日にか帰らん」という地であって欲しいと思います。

 新型コロナウイルス感染症は、人の命をも奪う大変重い災いです。しかし、実は、我々が故郷の魅力向上に努め、志ある若者が活躍できる場をここに作り、地方への定住を進めていくことそのものが、コロナ禍に対処していく強力な方策であることを心にとどめたいと思います。

 一方、社会全体が、コロナ禍に気をとられている間にも、着実に進む大きな世の中の流れがあります。

 一つは、地球環境の維持、持続的な発展の価値観の浸透です。昨年秋、菅総理大臣は、2050年に二酸化炭素排出量を実質的にゼロにするとの方針を打ち出しました。コロナ禍からの経済的復興でも、脱炭素で循環型の社会を目指す「グリーンリカバリー(緑の復興)」が提唱されています。自治体としても、全ての施策に持続可能な開発目標(SDGs)の視点を持つことが必要となっています。

 二つ目は、国際関係の変容です。高速交通網や通信の発達により、経済や人のグローバリゼーションが一気に進んできた反動のように、今や各国は国境を閉ざし、国際的な意思疎通も滞っています。

 そうした中、経済・軍事面においても、世界の力関係の構図が着実に変化しつつあります。関係が急速に悪化する国々も出てきました。国際関係の不安定化は避けて通れないように感じます。今や地域も、観光、経済、文化交流の面等、国際関係の影響を強く受ける時代となっています。自治体としても、動向を注視し、何ができるのかを探っていかねばなりません。

 これらの面でも、私は、環境保護の基礎となる自然や一次産業を持ち、また、世界に通じる文化芸術や平和を祈る場を持つ本市の可能性を強く感じています。

 こうした諸点を踏まえながら、今後も、対話と行動を通じ、市民にとって「住み心地よく生きがいのあるまち」、訪れる人にとって「一期一会の楽しみがあるまち」、未来を担う若者にとって「挑戦しがいがあるまち」、そして全ての人に「子育ての喜びが見えるまち」、すなわち「生きたい、行きたい、活きたい南あわじに」を実現すべく尽力したいと思います。

 これまでの「五つの行動」の取組みをさらに発展、本格稼働させていくため、ここに、市政運営及び主要事業についての方針を表明し、議員各位、市民の皆様のご理解とご賛同を賜り、皆様とともに希望に満ち溢れ、次世代が自信をもって故郷と言える南あわじ市を創っていきたいと思います。

五つの行動

1.超高齢化社会の克服

 五つの行動の第一は『超高齢化社会の克服』です。

 我が国は、団塊世代が後期高齢者に突入する2025年、団塊ジュニア世代が高齢者に突入する2040年を控え、経済活動の縮少、社会保障制度や財政の持続可能性、地域活動の担い手の減少等、超高齢化による社会問題を抱えています。

 これは、我が国が抱える本質的な課題です。健康、福祉、産業、地域の絆、若者に選ばれるまちづくりによる担い手の確保等、本市が取組む多くの仕事が、この問題の解決と直結しています。

 人生100年時代と言われる現代、高齢者は長く多様なライフステージを歩まれています。現役世代とともに社会を支えていただく時期、フレイルの予防が必要な時期、介護が必要になってくる時期などですが、その到来は、個々人によって大きな違いがあります。本市では、各ステージに応じ、生きがいを持ち、安心した毎日を送っていただけるよう、連携した施策を展開しています。

地域を支え、元気にご活躍いただく仕組みづくり

 「自分の親が元気にいきいきと出かけていく姿を見られるのがうれしい」。

 おもいやりポイント制度に参加し元気に活躍する親御さんを持つ娘さんが語ってくれました。

 本市では、意欲のある高齢者等が、希望に沿って様々な活動を通じて地域を支えていただけるよう、幅広い分野でボランティア活動や就労の仕組みを作る「高齢者等元気活躍推進事業」に取組んでいます。社会貢献を軸にした「おもいやりポイント制度」では、「外に出るきっかけになった」など参加する側の強い支持や、受け入れ施設側からの「職員の業務負担の軽減につながった」などの評価も得られました。「働くシニア応援プロジェクト」では、仕事の切り出しによる高齢者の活躍の場の創出を事業者に働きかけ、新規就労につながっており、徐々にシニア世代に期待する声も増え、手応えを感じつつあります。この事業は、全国に先駆けた取組みであり、目に見える成果となるまでにはまだ多くの作業を必要とします。私自身が先頭に立ち、関係者のご協力のもと様々な可能性を追求し、着実な前進を続けてまいります。

市民の健康づくりと予防接種

 健康は、社会とのつながり、生きがいの基礎となるものです。誰もが健康でいきいきと暮らすには、自身の健康は自ら管理する、という意識を持っていただくことが重要です。

 全世代において、町ぐるみ健診の受診率の向上に引き続き取組むことで、健康寿命の延伸を目指します。

 予防接種の更なる普及にも努めます。予防接種は、個人がその病気の発症や重症化を予防できるだけでなく、流行を防ぎ社会全体を守る効果があります。各世代に必要な定期予防接種の受診勧奨を行い、接種機会の安定的な確保と接種率の向上を図ります。新型コロナウイルス感染症対策の決め手となるワクチン接種についても、国、県と連携し、市民の皆様に安心して接種していただけるよう、万全を期してまいります。

地域で暮らし、地域で支える介護

 高齢者の活力の衰えであるフレイルを予防する仕組みづくりは長寿社会の重要課題です。町ぐるみ健診の未受診者や医療面に課題がある高齢者に対し、訪問等の個別支援を行い、適切な医療及び介護サービスにつなげるとともに、住民が主体となって介護予防活動に取組んでいる通いの場で、フレイル予防に関する啓発活動を実施します。

 また、高齢者に家事支援などを提供する生活支援型サービスの拠点を増やし、高齢者が、支援を受けながら、地域とのつながりを維持できる環境を整えます。

支援が必要な人全てに適切な支援を

 一方、加齢は不可避であり、十分気をつけていても、フレイルの状態になったり、要介護の状態に進展していくことが多々あります。加えて、病気、経済、障害等様々な面で、生活に困難を抱える方々もおられます。困難の原因も単一ではなく、複雑化・複合化することが増えています。こうした状況に対応するため、高齢・障害・子ども・生活困窮といった分野を超えた、包括的な支援体制の構築を進めます。支援が必要な人を見つけ出し、適切な支援が行われる仕組みを作り、持続可能な地域社会・地域福祉の方向性を見出します。

人に寄り添う公共交通

 自動車中心の島内交通環境において、子ども、要介護者、高齢者等車を運転できない人々も、公共交通等を利用しつつ、必要な活動をできるだけ不便なく行うことができる環境づくりが求められています。

 日常生活を支える、らん・らんバスは、必要な施設へのアクセスを良くするため停留所を追加する等、利便性向上の観点から常に改善を行います。さらに、「淡路島地域公共交通網形成計画」に基づき、市域を跨ぐ路線バスの一部について、公共交通の接続拠点である陸の港西淡への延伸を検討する等、バス事業者との協議を重ね、関係市と協働して利便性の向上を図ります。

 また、らん・らんバスに学生定期券を導入するなど、更なる利用の促進を行ってまいります。

社会の担い手確保に向けた取組みを

 人口減少・高齢化が進む地域を持続的なものとするため、社会・産業・文化等多面的な担い手の確保が大きな課題となっています。関係人口の増大や若者の流出を防止する移住・定住政策は、その点から重要な意味を持っています。

関係人口の増大を地域の活性化へ

 「新婚の時に夫婦で旅行したのを懐かしく思います。コロナ禍が収まったら、また行ってみたい」。

 ふるさと納税をしていただいた方からの声です。

 生まれ育った地域、親の出身地や働いたことのある地域、思い出に残る訪問地等、様々な形で関わった地域を大切に想い、「心の故郷」、「第二の故郷」として、応援されている人々のことを関係人口と呼びます。観光や交流を通じて地域を支えていただけるのみならず、将来の移住定住の入口としても重要な存在です。

 ふるさと南あわじ応援寄附金、いわゆるふるさと納税は、そうしたきっかけづくりに最適です。市内事業者の皆様のご協力を得ながら、食材などの地元産品はもちろん、宿泊や文化芸能などの地元体験、更には地元の資産の維持等、幅広い分野で返礼品を開発し、磨き上げ、広報活動も工夫しながら、全国の皆様に南あわじ市・淡路島の魅力を伝え、関係人口の増大を図っていきたいと考えています。

機運高まる地方への移住・定住、取込むための挑戦

 都市・地方間の人の流れは、コロナ禍の影響を受け、今、転機ともいうべき時期にあります。地方居住の再評価、テレワークの進展等、働き方やライフスタイルに対する意識変化が急激に進みました。住民基本台帳人口移動報告によれば、昨年の東京都への転入超過幅は前年より約6割減少し、全国で東京都だけ、転出者が前年より増加しています。この変化を取込むため、移住・定住施策の強化を図ります。

 大都市や関西国際空港からもアクセスしやすい地の利を生かしつつ、新しいビジネススタイルと旅行をマッチングさせたワーケーション事業による関係人口の増大やリモートワークを梃子とする企業の事務所の誘致にも積極的に取組みます。

 移住のための住居取得への助成に加え、その前段階である、まず住んでみるというニーズを取込むため、賃貸住宅への居住の初期費用等を助成します。

 また、若者世代の市内定住を促進するため、未婚の男女の縁結びの場となる、出会い、交流の機会を創出するとともに、新婚世帯や子育て世帯に対し、住宅取得や賃貸、更には、通勤通学に係る交通費の補助を行います。

 多世代同居、近居をする際の物件購入費用や住宅リフォームの費用を補助し、子育てや介護の負担軽減につながる家族の絆の再生や地域の共助の機運を高めます。

2.子育て環境の向上と教育の充実

 第二の行動は『子育て環境の向上と教育の充実』です。

本市が、全国のトップランナーとして取組んだ3歳児以上の保育料無償化は、今や国の標準政策となりました。引き続き、「子育ての喜びが見えるまちづくり」を目指し、教育の充実と子育て環境を向上させるため、三つの柱で施策を進めていきます。

学校教育の充実と高度化

 第一の柱は、「学ぶ楽しさ日本一」を目標に、全ての子ども達がやりたいことを見つけ、自ら努力し、成長し、能力を最大限伸ばしていく教育環境づくりです。

 教育課程では三つの取組みを進めています。

 その一、人形浄瑠璃等を活用した総合的能力向上プログラムであるコア・カリキュラムです。地域の文化を活用し、義務教育の9年間をかけ、教師も子どもも一緒に学びながら「人と関わる力」、「課題解決にむけてやりとげる力」、「自分を見つめる力」、「未来をつくる力」といった見えない学力を伸ばす、本市ならではの取組みです。「学ぶ楽しさ日本一」の核の一つとして実践していきます。

 その二、各学校が自らの課題解決に主体的に取組むスクールチャレンジ事業です。学力向上、特別支援教育、いじめ・不登校問題等、学校ごとに異なる課題に対処しつつ、特色ある学校づくりを推進します。防災教育もこの事業を活用して実施していきます。

 その三は、読解力の向上です。読解力は、コミュニケーションの基礎として、全ての教科の学力に影響を及ぼし、日常生活でも相手の気持ちを理解する上で大切な力です。図書館に専任の職員を配置し、学校と連携しつつ取組みます。

 次に、地域で支える子育て活動、アフタースクール事業による放課後の活用です。学校と家庭の貴重な隙間である放課後をより有意義な時間にするため、地域の方々や企業の協力を得て、地域の特色を生かし、季節に合わせた体験活動を行い、全ての子ども達が、自ら考え行動し、自主性や積極性、コミュニケーション能力を育むような場づくりを進めます。

 「お迎えが早いって文句を言われるんです」。

 アフタースクールに通う子どもの保護者からいただいている声です。可能なところから、学童保育や放課後子ども教室を融合し、導入校区の拡大を進めます。

 夢プロジェクト事業は、子ども達が大きな夢を持って未来に進むための起爆剤です。憧れの一流スポーツ選手や文化人等が、スポーツ・文化の醍醐味、努力する大切さ等を小中学生に直接語りかける時、毎回、子ども達の眼差しが本気になります。

 新型コロナウイルス感染症による一斉休校を契機に、GIGAスクール構想が加速しました。一人一台のタブレット端末を使用し、児童生徒の論理的思考能力と情報活用能力の向上を図ります。新たに電子黒板を導入し、双方向型の授業への移行を進め、質の高い教育の実現を支援します。多様な子ども達を誰一人取り残すことなく、個別に最適化された学びを提供するための手段として最大限活用します。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、工事が延期された賀集小学校、松帆小学校、志知小学校の各校舎の大規模改修工事を行い子ども達の活動の舞台を整備します。

地域の人々に見守られて過ごす場の拡充

 第二の柱は、子ども達が地域の人々に見守られて過ごす場の拡充です。

 「コロナで大変な時なのに、工夫して、イベントをしてくれてありがとう」。

 ゆめるんセンターの出前広場を利用いただいたお母さんの言葉です。

 利用いただく皆さんのご意見をもとに、現場で考え、コロナ禍でも安心して行える方法に変更し、イベントを開催しています。

 小学校の運動場は、子ども達の遊び場確保や親子・家族のふれあいの場、地域住民の交流の場とするため、安全な遊具を整備しつつ、引き続き一般開放いたします。

 世代をまたがる地域の人々が応援し、見守り、育み、地域全体で子育てを支援する基盤づくりに引き続き取組んでまいります。

子育て世代の総合的な支援体制

 第三の柱は、子育て世代への支援体制の充実です。

 若者の移住や定住を進めるためには、出産•育児世代に選ばれる、安心して子どもを産み育てられる環境が重要です。これには、日本の社会が抱える二つの問題に取組む必要があります。

 一つには、地域の人々が関わり、子どもを育てるという伝統の回復です。他地域に比較するとその伝統が強く残る本市ではありますが、地域での子どもの見守り意識の向上に努め、シニア世代を含めた多世代が更なる育児への積極的な関わりを持っていただけるよう働きかけます。

 もう一つは、男女が等しく家庭運営を分担するという意識の普及です。男性の家事参加、働き方の見直し、地域の子育て支援等、仕事、家庭生活、育児・教育が両立する、「子育ての喜びが見えるまち」の実現を目指すには、企業や経営者の意識や視点も大切です。企業、住民、行政、関係団体が連携し、「子育て応援コンソーシアム」を立ち上げ、企業や社会が男性の家事育児参加への理解を深めていただけるよう、機運の醸成を図ります。

 安心して出産できる環境は、子育ての出発点です。コロナ禍の不安の中、新しい命を育む親に、ゆめるんベイビー給付金の対象期間を延長し支給します。全国的に不足する産婦人科医師の確保は、淡路島全体の共通課題として、引き続き県や関係機関へ強く働きかけるとともに、不妊治療費や妊婦健康診査費、島外医療機関での健診・出産に係る交通費の助成を行います。

 また、小児救急への備えとして、休日・祝日及び夜間においても、電話相談や受診できる体制を確保します。

 安心して子どもを預けられる保育環境は、働く親にとって欠かせません。保育士の養成課程を持つ大学と連携し、若い世代の意見を活かした幼児教育の充実や保育士不足などの課題に引き続き取組みます。

地域文化・スポーツの振興

 地域の文化・スポーツ活動は、地域の活力や魅力のバロメーターです。利用状況を勘案しつつ、関連施設の着実な維持整備に努め、文化・スポーツ活動を応援します。

 松帆銅鐸は全国的にも貴重な歴史資産であり、本市の宝物です。

 調査成果を基にした報告書研究編を刊行し、その学術的価値に対する関心を高めます。また、地域の歴史や文化に対する市民の興味や理解を深めるため、銅鐸をはじめ、市内に点在する歴史遺産を結びつけた学習コンテンツやVRデータを教材として作成し活用します。

 スポーツは、心と体の両面にわたる健康の維持、増進に大きく寄与します。今夏予定される東京オリンピックの聖火リレーが本市を通過する際は、広く世界に南あわじ市を発信する機会となるよう、組織委員会等と連携、準備を進めます。

 近畿2府4県より男女各40チーム、約800名が参加する近畿高等学校駅伝競走大会は、令和3年度で3回目の開催となります。関係者等と連携をとりながら、選手達が安全・安心に競技が行えるよう万全を期してまいります。

3.地域の資源を活かした地元産業の活性化

 第三の行動は『地域の資源を活かした地元産業の活性化』です。

 淡路島、南あわじ市が持つ資産を最大限に活用し、既存の産業を活性化するとともに、若者達が自ら仕事を作り出すことができる環境づくりを進めます。

(1)農畜水産業と観光の結合

 最大の柱は、農畜水産業と観光との連携強化による相乗的な付加価値の向上です。

 淡路島は、豊かな土壌と海が生み出す、食の素材にあふれるとともに、自然が作り出す世界に誇る観光資源にも恵まれた稀有な地域です。これらを互いに連携させ、相乗的に高めていくことで、双方の付加価値を高めます。

 また、島の外から見れば、淡路島は一つです。この取り組みは、淡路島三市、産業関係者が力を合わせ、県の後押しも得て、淡路島全体の取り組みとして進めてまいります。

美食を中心にした淡路島ブランド力の向上

 世界中の美食家が集まる街、スペインのサン・セバスチャンは、地元のシェフなどが研鑽しあってレベルを高め、食材の供給基地から世界に誇る美食の街へと著しい成長を遂げ、周辺地域の一次産業も潤うようになりました。

 淡路島も、2025年の大阪・関西万博を一つの目標とし、兵庫県・淡路島三市・観光協会等が協力しながら、サン・セバスチャンのような「美食の島」への取組みを進めています。

 島内には、淡路島3年とらふぐ、鱧や献上鯛、淡路ビーフや淡路島たまねぎ等、一級品の農業、水産、畜産、酪農と海や山の幸があふれています。美食の島づくりは、これらを素材のまま島外に出すだけでなく、域内で料理・加工し、付加価値をつけ、訪れる観光客に提供するとともに、ブランド力を更に高めながら、全国各地に送り出すことを狙いとしています。

 こうした取組みを進める中、昨年11月、国が農山漁村活性化の優良事例を選定する「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」で、兵庫県内では本市の福良漁協が唯一選定されました。難しいといわれる3年物のトラフグやサクラマスの養殖技術を確立し、ホテルや民宿、飲食店でのメニュー開発を通じ、地域が一丸となり、活性化に取組んだ成果が高く評価されたものです。目指すべき、美食の島への後押しとなってくれる出来事です。

食材生産の基盤である農畜産業

 美食の島づくりの構想も、それを支える食材生産の基盤あってのものです。引き続き、質の高い農畜産業の振興に取組みます。

 まず、農業です。本市は、長年に亘る農家の皆様の努力により、玉ねぎやレタスでは全国有数の産地としての地位を築き、本市の農業の柱となりました。しかし、とりわけ玉ねぎは、全国的に栽培に取組む地域が増え、産地間競争が激化しています。このため、県、普及センター、あわじ島農協等と連携し、生産振興及び更なるブランド化に取組みます。

 畜産業は、淡路島牛乳、淡路ビーフ等それ自体淡路島の重要な産業であるとともに、堆肥の供給を通じた良質な土づくりが、本市の特色である三毛作の循環型農業を可能にしています。乳・和牛の増頭、北海道牛導入や乳質改善の取組みへの支援を継続し、畜産業の発展を図ります。

 この耕畜連携の循環型農業については、2月19日に「南あわじ市における水稲・たまねぎ・畜産の生産循環システム」として日本農業遺産の認定を農林水産省からいただきました。土地や水など様々な制約を工夫と努力で乗り越えるという、南あわじの農業の伝統も大切にしつつ、本市の農業生産基盤の発展を進めてまいります。

 担い手の確保は、農業の最大の課題です。

 まず、集落の未来設計図である人・農地プランの実質化を通じ、中心となる担い手を確保し支援します。

 女性農業者は地域農業を守る重要な存在であり、感性を活かした多彩な農業活動や加工品の開発等、大きな期待が寄せられています。女性農業者同士の連携を強め、その活動を通じ市の農業全体の活性化や情報発信につなげていきます。

 Uターン就農による担い手の確保も大切です。コロナ禍により、若者の農業への関心も高まっています。Uターン就農者が、親元から経営分離する際に懸念される親元経営体の収入減少を緩和し、子が親元から独立しやすい環境を整えます。

 本年1月、優れた農業者を表彰する国の「全国優良経営体表彰」の経営改善部門において、本市で青ネギの専作を行うアイ・エス・フーズ株式会社が農林水産大臣賞を受賞されました。販路の開拓、異なる風土の圃場を使用した安定供給、耕作放棄地の有効利用等の取組みが評価されたものです。このように、新たな取組みを行い、挑戦する担い手の活躍を心強く感じています。

 また、農業者のセーフティネットである農業共済事業は、昨年4月に兵庫県で一つに統合され、新しい体制となりましたが、引き続き連携を図ってまいります。

 一方、農産物に対する鳥獣被害は引き続き深刻です。昨年4月に設置した鳥獣対策室を中心に、侵入防止柵の設置や猟友会と連携した有害鳥獣の捕獲を重点的に行うとともに、狩猟体験会の開催や狩猟免許取得への支援を行います。加えて、専門家を招き、地区全体が協力して有効な対策を進めるモデル地区の育成に取組みます。

 農業基盤整備にも積極的に取組み、生産効率の向上を進めます。ほ場整備及び関連農道整備を、新田(しんでん)、国衙(こくが)、養宜(ようぎ)、片田(かただ)、八幡北(やはたきた)、倭文長田(しとおりながた)地区で引き続き行います。また、ため池については、耐震強化及び豪雨時の被害軽減のため、堤体の整備を進め、安定的な農業用水の確保に取組みます。

 地権者と粘り強く交渉を進めた結果、昨年、ようやくオニオンロードの用地が確保されました。全線開通に向け、未整備部分の工事の施工及び維持管理に県と連携して取組みます。

良質な漁場の再生で蘇る水産業

 水産業は、地球温暖化や栄養塩類の減少に伴う漁獲の変動、魚の価格の低迷、後継者不足等、多くの課題に直面しています。

 漁業経営の安定には、良質な漁場づくりが欠かせません。河川浚渫土を利用した海底覆砂や撹拌魚礁の設置により、海の底質改善や栄養塩の供給効果等の検証を行います。また、ヘドロ等の堆積によって悪化した海域の底質改善試験や今後の資源化が期待されるナマコのモニタリング等にも取組んでまいります。

 漁場づくりだけでなく、インフラ老朽化対策も重要です。灘漁港西防波堤や丸山漁港ワカメ陸揚げ用クレーンの改修等、施設の維持管理を計画的に進めます。

吉備国際大学との連携・支援

 吉備国際大学は、淡路島なるとオレンジやジビエを活用した商品開発・販売、市民を対象とした生涯学習講座開催など地域とのつながりを深めています。引き続き大学と連携し、地域活性化及び産業振興、更には若者の定住促進等を図るため、入学奨励金の交付や地域課題解決に向けた研究活動に対する支援を行います。

地産地消の原点回帰

 「スーパーにはない野菜が多い。鮮度がいいし、メニューには欠かせない」。

 美菜恋来屋に来店したシェフの言葉です。コロナ禍により、食材をはじめ、地域の産品が日頃から地域の人々に使われ、愛されることの大切さが再認識されました。この地産地消という原点をもう一度見直します。農業分野では、消費者や飲食店から「食べたい、使いたい」という地元産野菜に対する需要に応えられるよう、多品種少量生産で活路を見いだす農家の発掘・育成等に取組みます。水産の分野では、地元での試験出荷や販売促進により、漁業者の所得安定・向上にもつながる仕組みづくりに取組みます。

 この事業には、地域おこし協力隊の制度を活用します。「本市が求めていること」と「協力隊がしたいこと・できること」を近づけ、協力隊が活動を通じ、地域の活性化と将来の生業の準備を並行して進め、定住につながるよう努めます。精緻なマッチングが出来るよう、「おためし地域おこし協力隊プログラム」を実施します。また、行政主導だけでなく、地域が主導して、協力隊とともに地域の課題に取組む枠組みも検討してまいります。

一期一会を支える観光産業の活性化

 観光の醍醐味は、美しい景観、美味しい料理、味わい深い歴史や文化などを橋渡しとし、人の心と心が触れ合う、まさに、その時その場所だけの、「一期一会」の体験です。淡路島の観光地が、様々な想いでこの地を訪れる人々に、たくさんの一期一会を提供できるよう整備を進め、魅力向上を図ってまいります。

鳴門海峡の渦潮をめぐる観光産業の取組み

 鳴門海峡の渦潮の世界遺産登録を目指す活動を、引き続き、兵庫・徳島両県、鳴門市、そして淡路島三市で手を携えて進めます。

 本市は、昨年12月にノルウェー王国ボーダ市と友好連携に関する協定を締結しました。美しい自然を生かした観光施策などボーダ市との様々な交流の可能性を検討しつつ、新たにスコットランドにも連携を打診する等、世界的連携による渦潮世界遺産登録にも引き続き挑戦してまいります。

 鳴門海峡に架かる大鳴門橋では、本州四国連絡高速道路株式会社の理解と協力のもと、兵庫県と徳島県において、桁下空間を活用した自転車道の設置について、検討が進められています。

 「淡路島が存分に堪能できる、淡路島ロングライド150やアワイチサイクルフェスタに参加したい」。

 広報誌を読んでいただいている北海道に住む男性のコメントです。アワイチのサイクリング人気に加え、渦潮を見下ろす新ルートが実現すれば、淡路島の自転車ルートは飛躍的に魅力が向上します。大鳴門橋自転車道の計画に併せ、鳴門岬周辺の観光圏域を構築すべく、鳴門みさき荘のリニューアルをはじめ周辺環境整備を進めます。

 加えて、県境を越え鳴門市と連携し、「食・自然・アクティビティ」をキーワードに、渦潮を中心とした観光エリアを形成し、新たな人の流れの創出、滞在時間の延伸による消費の向上、持続可能な地域づくりを目指します。

花みどりフェアとおもてなしの心

 コロナ禍により延期となった淡路花博20周年記念「花みどりフェア」が淡路ファームパークイングランドの丘等で開催されます。安心してご来場いただき、見て、知って、感動してもらえるよう工夫を重ねます。また、同期間中、観光施設を結ぶ公共交通ネットワークの実証運行を実施し、観光客も利用しやすい公共交通の整備につなげます。

観光基盤の着実な整備

 灘黒岩水仙郷のリノベーションはじめ、観光施設の整備も着実に進めてまいります。更に市内の観光施設、公共施設を訪れる観光客や市民の皆様が利用しやすいトイレ環境の整備を集中的に行います。

 コロナ禍を契機に、人と人とがつながる体験型観光の強みが注目されています。歴史文化とのふれあいや農業体験などを発掘し案内する人材育成に取組みます。

(2)地域商工業の再活性化

 次の柱は、商工業の再活性化です。

 地場産業をはじめとする地域商工業の活力は、経済の底力ともいうべきものです。

 心に残るデザインや体験を提供する新たなサービス産業は、新鮮な感性を発揮できる仕事の場として若者を惹きつけ、定着させる魅力があります。淡路瓦、淡路手延素麺などの地場産業も、観光とも連携した新たな付加価値づくりに取り組んでいます。

 一方で、後継者不足により廃業を余儀なくされる事業者も出てきています。地場・伝統産業を絶やさぬよう、後継者の育成を支援します。

 商工会とも連携しつつ、新製品や新技術の開発等の新規事業展開、企業の経営安定化、売上げの向上を支援します。

資源循環産業体系の確立

 持続可能な開発目標(SDGs)と整合する、環境や健康に配慮した循環型のまちに魅力を感じる人が増えています。「南あわじ市資源循環産業体系構想」は、玉ねぎ等の野菜残さや下水汚泥を複合的に処理し、副産物として発生する電気や堆肥などを有効活用する仕組みです。専門家や生産者等に幅広く意見を聞きながらマスタープランを策定し、施設整備を進めます。地域の資源が地域内で循環して付加価値を生む、全国の先駆的なモデルとなるよう取組んでまいります。

4.安全・安心のまちづくり

 第四の行動は『安全・安心のまちづくり』です。

震災の教訓

 今年、東日本大震災から10年を迎えます。私は以前、東日本大震災後の原発事故の賠償問題や津波被災地の復興支援に携わりました。被災地に入り支援をする中で、自治体と住民が協働し、復興に向けて取組む姿に直接触れることになりました。  

 その経験から震災・津波の怖さ、そしてまた、震災からの復興の進め方についての教訓を、風化することのないよう後世に引き継いでいく重要性を痛感しています。

 市民の防災力向上

 兵庫県の最南端に位置する本市は、今後30年以内に70から80パーセントの確率で発生するといわれている南海トラフ巨大地震で、津波による甚大な被害が想定されています。

 確かに、これは大きなリスクです。しかし、今、地震のみならず、豪雨、暴風等、日本国内で安全な土地はないと言ってもよい程、あらゆる災害の危険性が高まっています。

 これまで、災害リスクはデメリットの側面だけが際立っていましたが、地域の防災への取組みにより、メリットに転換する可能性も指摘されています。昨年末開催された防災フォーラムでは、有識者の基調講演において、「津波防災日本一を目指すまちづくり」を掲げ、住民が高い意識を持って先進的な対策を進める福良地域の取組みが、防災力の高いまちとして、観光資源としても魅力を持ってくるという期待が表明されました。こうした可能性も念頭に、各地域において、地域特性に応じた高い防災力を蓄えられるよう住民の皆様とともに取組んでまいります。

 災害は、時と場所を選びません。コロナ禍で災害が発生した場合でも安全・安心な避難ができるよう、避難所の追加や感染防止対策を含めた避難所運営の充実を図ってまいります。昨年7月に開催した地域づくり懇話会のテーマは、「災害時の住民避難における新型コロナウイルス感染症対策」でした。災害が発生した直後の人命救助や避難活動は自主防災の組織力に大きく左右されます。自治会や地域で災害時の協力について自主的に話し合いを進めておられる姿が、非常に心強く感じられました。

 「私の家では防災に関して何も対策をとっていないので、何か一つでも対策をしようと思いました」。

 昨年の防災訓練に参加した中学生の感想です。訓練に参加することで防災意識と実践力が向上し、本当に災害が起きた時に大きく役立ちます。引き続き防災訓練の改善に力を注ぐとともに、淡路島三市が同日開催することで、大規模災害にも対応できる実践的な総合防災訓練となるよう努めます。

 防災・減災における子ども達の役割の大切さも改めて認識されています。子ども達が防災、減災の担い手としての意識を持ち、人間としての生き方、あり方も考える防災教育を推進し、防災ジュニアリーダーの養成を進めます。

 ハザードマップの重要性は、東日本大震災の反省でも指摘されました。市民、地域の防災力向上のため、最新の災害想定を反映したハザードマップを作成します。新たに、スマートフォン等でも利用できるようにし、住民だけでなく、本市を訪れる全ての皆様に活用いただける避難の道しるべとして整備を行います。

 ため池を活用した本市の防災は、全国に先駆けた取組みとして注目されています。降雨期に備えた、ため池の調整池としての活用について、大学・企業との連携によりデータ蓄積・検証に取組んでいます。また、企業と連携し、フロート太陽光発電により、ため池の維持費の捻出、災害時の電力供給等に役立つ仕組みづくりも進めています。

 地域防災の核として活動いただいている南あわじ市消防団は、県内有数の団員数を誇ります。消防団の機能を維持・増進するため、女性や学生も取込み、消防団活動の幅を広げることを検討してまいります。消防設備、器具等への支援を行い、消防力の維持、整備に引き続き努めてまいります。

 防災の備えとして、ハード面の整備も欠かせません。引き続き国や県の支援を得つつ積極的に進めます。

 福良港湾口防波堤をはじめとする南海トラフ巨大地震対策を着実に進めます。沼島への唯一の定期航路の被災を軽減するため、灘漁港浮桟橋付近の護岸耐震化工事を行います。浮体式多目的公園(メガフロート)についても津波・老朽化対策を行います。

 また、風水害時の高潮等に備え、福良地区における内水対策事業、松帆古津路地区における護岸整備事業等を継続的に進めます。

 三原川水系においては、河川整備計画に基づく整備や河積確保と排水機場更新を主とした「外水対策」と、本市が手掛ける雨水対策を主とした「内水対策」等、課題を抱える河川が数多くあります。県とも全面的に連携し、各河川において有効な対策を図っていくとともに、河川浚渫の促進につながる養浜事業との組み合わせなども提案してまいります。

 長年の課題であった湊排水機場の更新については、国、県の尽力により、実施計画が決定し、大きく前進しました。今後、大日川の改修も視野に入っており、県と歩調を合わせ、地域の更なるご協力をいただきながら切れ目のない事業推進に取組みます。

 また、津波災害から身を守るための避難路や太陽光避難灯の整備、災害時の情報伝達のための防災行政無線の維持管理を引き続き実施します。

 防災に終わりはありません。市民との相互の啓発、新しい技術や手法の調査と導入などを継続し、「レジリエンス」と呼ばれる、災害に耐え、回復する力を高め、防災力をアピールできる地域となるよう取組みを深めてまいります。

犯罪・事故防止

 犯罪や事故が少なく、市民の皆様が安全にかつ安心して暮らせることは、地域の大きな魅力となります。

 地域防犯活動を支援するとともに、防犯灯や防犯カメラの設置・維持管理に対する補助を継続します。

 安全・安心な消費生活の実現を図るため、引き続き消費生活センターに消費生活相談員を配置し、消費者被害の相談や解決のための支援を行ってまいります。複雑・巧妙化する悪質商法等の被害防止のための出前講座や啓発活動、成年年齢引き下げやインターネットによる被害防止のための若年者への消費者教育を実施します。

 交通安全の継続的な啓発、カーブミラーの設置及び維持管理はじめ、交通災害を防止するとともに、適切な管理がされていない「特定空家等」に認定された危険空家の除却工事に対する支援を行うなど、地域住民の安全の確保と不安の軽減を図ります。

差別のない社会

 新型コロナウイルス感染症では、コミュニティの思いやりの大切さが浮き彫りになりました。感染者やその家族への差別、また、最前線で命を守る医療従事者に対する差別が数多く報道されました。私共が把握する限り、本市においては、感染の事案に対する人権侵害的な言動は極めて少数でした。市内の小中高校生が自分達の言葉で書いた人権作文等を読み、私は、これまで積み上げられてきた人権尊重の取組みの成果を、改めて認識いたしました。引き続き、一人ひとりが正しい知識を持ち、あらゆる差別が無くなるよう人権問題について関心と理解を深め、「人権の世紀」にふさわしい共生社会づくりを推進します。

 また、インターネットやSNSの普及に伴い、新たな人権侵害が発生しているため、ネット等への悪質な書き込みを抑止する取組みを行います。

公衆衛生を支える環境整備

 衛生的な生活も安全・安心の地域に不可欠の要素です。安定した水の供給、生活環境の改善と自然環境保全のためのごみ処理、道路の維持管理、下水の処理等を適切かつ確実に実施する必要があります。

 火葬場の建設については、引き続き周辺環境への配慮に努め、市民の皆様の理解をいただきながら、着実に進めてまいります。また、下水放流施設についても、地元と協議を行いつつ、整備を進めます。

 市管理橋梁、約720橋の定期的な点検及び老朽化した橋梁の補修による長寿命化を図る他、公営住宅については、「南あわじ市公営住宅等長寿命化計画」に基づき、対象となる市営住宅の長寿命化を図ってまいります。

 下水道事業では、中長期的な視点に立った予防保全型の管理を目指し、計画的かつ効率的に維持管理を行います。

 処理場の統廃合等により、経営の合理化をさらに進めるとともに、アクションプランに基づき実施中の松帆・湊処理区、八木・榎列処理区、広田処理区は、処理区域の見直し及び事業再評価を行うことで、より効率的な整備に取組みます。

 また、合併浄化槽での処理区域については、生活排水の適正な処理を行うため、合併浄化槽の設置を支援します。

5.「対話と行動の行政」の実現によるまちづくり

 第五の行動は『「対話と行動の行政」の実現によるまちづくり』です。

住民との対話の強化

 令和元年度、議会のご提案も受け、21地区全てで市民の皆様と対話の場を持ち、各地域の抱える問題を共有させていただきました。その中で自治会、老人クラブ、消防団等、コミュニティの中核となる地域団体において加入率が低い、高齢化が進んでいる、役員の引き受け手がない等の意見が多く出されました。既に検討チームを立ち上げており、今後各団体との対話を進めながら具体策を検討してまいります。

 各地域が抱える様々な課題を解決するため、平成29年度に地域づくりチャレンジ事業がスタートしました。これまでに8地区が取組んでおり、現在も新たな地区が申請に向け、計画づくりなどを進めています。

 引き続き、地域と行政が対話を重ね、将来について共通の認識を持ち、共に取組んでいくまちづくりを推進します。

信頼を得られる最強の市役所へ

 対話と行動の行政の目指すところは、第一に、市役所全体、職員一人ひとりが意識を高く持ち、市民との対話を点から面に広げ、現場の実態や意見を確実に把握すること、第二に、国や県の施策の受け売りでなく、対話を通じて把握した現場の課題に対して最適の解決の方策を自ら考え、果敢に挑戦していくことです。

 そのためには、一層の職員のスキル向上が求められます。人材育成の体制を強化し、業務力向上のための資格の取得推進とともに、人事評価制度の見直し等、全庁的な仕組みづくりを進めます。

 今年の年頭の職員への訓示として、改めて「仕事とは何か」ということを話しました。仕事とは、達成しようとする目標に向かい、人の心を動かし、賛同し行動してくれる人を増やしていくことであると私は考えています。正確な情報分析や判断、分かりやすい資料などは、心を動かすための手段です。そして、その根本にあるのが、「信頼」です。市役所に対する信頼があれば、高い目標に向かい、困難に直面する時においても、市民の皆様は一緒に解決策を考え、行動していただけることを、私はこれまで何度も体験してきました。

 このため職員に、二つの実践を求めました。一つは、小さな仕事であっても、それが一生一回、「一期一会」と考え、丁寧に取組んで信頼を積み重ねていくこと。もう一つは、言葉の力を磨き、受け手の心に正確に響くメッセージを届けることです。我々は、日々このような関係づくりのために働いている、ということを職員全員の共通認識として、全力で仕事に取組んでまいります。

行政手続のデジタル化と発信力の強化

 行政運営の効率化にデジタル化は必須です。

 マイナンバーカードは、今後、健康保険証や運転免許証の機能も搭載され、便利で暮らしやすいデジタル社会への基盤となっていきます。現在、本市の市民の3人に1人がお持ちいただいておりますが、申請の出張受付など計画的に更なる普及促進に努めます。

 デジタル化に取り残される心配のある高齢者等に対し、講習会を実施する等、デジタル利用の推進を図ります。

 安心して行政サービスを利用していただけるよう、情報セキュリティ対策を更に強化し、複雑化する外部からの攻撃・脅威に対し適切に対応してまいります。

 また、申請時などの市民の負担を軽減し、利便性の向上を図るため行政手続における押印の省略を段階的に行います。

 市役所の情報発信力は、業務能力と直結しています。政策やイベント、地域の魅力を含んだ情報の効果的な発信は、いまや市役所の責務です。新たに招く地域活性化企業人とともに、メッセージを磨き、広報、ケーブルテレビ、インターネット等の連携を図り、市民の皆様はもちろん、全国に向けた、わかりやすく、効果の高い情報発信ができる組織への成長を図ります。

令和3年度 歳入歳出予算

 令和3年度予算の提案にあたり、市政運営、主要事業についての方針をお示しいたしました。財政面から見れば、新型コロナウイルス感染症の影響等により見込まれる市税の大幅な減収や、普通交付税の合併算定替の段階的縮減の終了等、厳しい状況にあります。

 しかし、本市が抱える様々な課題の解決、本市の更なる進化のため、真に必要な事業を積極的に展開し、次世代への投資を重点的に進める予算編成といたしました。その結果、令和3年度歳入歳出予算は、

 一般会計「294億2,000万円」(前年比 +10.1%)

 特別会計「125億2,181万7千円」(前年比 -4.3%)

 企業会計「51億1,904万5千円」(前年比 -4.1%)

 合計「470億6,086万2千円」(前年比 +4.2%)とさせていただいています。

結びに

 新型コロナウイルス感染症は、生活の全ての面で私達に大きな影響を及ぼしています。皆様の日々の不安の解消につながるよう、必要な施策を切れ目なく展開するとともに、市民の皆様との絆を大切にし、強化し、議長のお言葉を借りれば、市民ファーストの視点を忘れず、ポストコロナの時代において、更なる飛躍ができるよう、先を見据えながら施策を積み重ねてゆきます。

 議員各位におかれましては、何卒ご理解賜り、慎重審議のうえ、適切なるご決定をいただきますようお願い申し上げ、私の施政に臨む方針といたします。

 令和3年2月24日

南あわじ市長 守本 憲弘

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