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更新日:2025年6月1日更新

ふれあい市長室(233)

地域のお祭りを次世代へと繋げていくために

令和7年(2025年)6月 南あわじ市長 守本 憲弘

 今年の4月、5月は穏やかな天候に恵まれ、各地で春祭りが盛大に開催されました。穏やかな空の下、地域に賑わいと活気が広がる様子に、私も大きな喜びを感じています。
 

 私自身、地域のお祭りには特別な思い入れがあります。小学生の頃には、宵宮で金魚すくいに夢中になり、少し離れた場所の祭りにも自転車で出かけたものでした。二十歳には、東京から帰省して神輿を担ぎ、フランス勤務中に迎えた初老の春には、夜行便で帰国し行事に参加したことが印象深く心に残っています。思い返すと、祭りをはじめとして、さまざまな節目にふるさとと関わってきたことで築かれた絆や経験が、今こうして市長としての仕事に携わることへとつながっているのだと感じています。
 祭りは、地域の文化や歴史を受け継ぐ「縦の糸」であり、同級生や先輩・後輩との絆を深める「横の糸」としても、地域の宝です。コロナ禍では、祭りをはじめ多くの行事が中止となり、地域のつながりが薄れてしまうのではと心配しました。そこで令和4年度には「地域行事等再開応援事業補助金」を創設し、多くの自治会が再び祭りを開催する姿に、「さすがは南あわじ市」と大きな力強さを感じたものです。
 

 一方で、担い手不足という大きな課題にも直面しています。今年も人数が集まらず、だんじりを出せなかった自治会がありました。少子高齢化が進む中で、この傾向は今後さらに広がることが懸念されます。
地域の絆は、防災や福祉、日常の安全・安心を支える土台です。その象徴である祭りを守っていくには、新しい工夫が欠かせません。近年では、女の子がだんじりに乗ったり、唄に女性が加わったりと、担い手の幅が広がってきました。沼島では島外からの助っ人も迎え入れ、男女問わず多くの人が春祭りを楽しんでいます。若者の発案で神輿の後にコンサートを開催する例も出てきました。
 

 こうして多様な人が関わることで、新しい視点からの提案やアイデアが生まれ、祭りの魅力がさらに高まり、地域の絆も深まっていく。そんな好循環が生まれることを期待しています。
伝統を守りながら変えることには困難も伴いますが、伝統とは人が時代とともに育てていくものです。千年続く日本企業の多くが、創業の精神を守りつつも、時代に応じて柔軟に事業を変化させてきたように、地域のお祭りもまた、奉仕の心や「皆で楽しむ」という精神を大切にしながら、しなやかに時代に適応し、未来へとつながっていくものだと私は信じています。
 

 市役所としても、地域の皆さまとの対話の中で知恵を出し合い、これからの祭りのあり方を共に考えてまいりたいと思います。