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ふれあい市長室(144)

印刷用ページを表示する更新日:2018年4月1日更新 <外部リンク>

大都市の若者が集まる神山町

平成29年10月 南あわじ市長 守本 憲弘

 前回ご紹介した上勝町が、シニアを中心とする地元の住民の力を最大限に発揮するモデルとすれば、今回話題にする神山町は、都会から移住して来る若者の力を活かしたまちおこしのモデルと言えます。
 山をひとつ隔てた隣町が、こうした好対照をなしているのも興味深く感じます。
 神山町は、2010年頃から、三大都市圏の、IT産業に関わる若者たちの移住が進み、にわかに知られるようになりました。
 移住の背景として、山里の豊かな自然と光ファイバー網によるIT環境の強みがあげられます。
 しかし、そうした条件を満たす地域が多数ある中で、なぜ神山町に突出して人が集まるのか不思議です。
 歴史を辿れば、現在若者移住やまちおこしの中核となっているNPOグリーンバレーの原点は、日米友好の印に全米の家族から贈られ、戦災を逃れて残っていた人形の里帰りを企画・実行した委員会だそうです。
 その委員会が神山国際交流協会に発展し、子どもたちに異文化と触れ合う機会を提供するため、内外の芸術家を招いて作品づくりを支援する事業を始めます。
 それを機に移住者も出始め、移住への関心が高いことを知ります。
 しかし、地元に仕事がないと移住できないということで、移住者の提案で、空き家などの紹介とともに、神山でできそうな仕事を地元から提案し、人材を誘致する事業につながって行きます。
 こうして、呼び込む側と、迎え入れられた若者とが共同でプロジェクトを興し、徳島県による神山町でのテレワークの実験の写真それぞれの人脈も活用しながら移住を促進していくという好循環につながっていきました。こうした地道な積み重ねがあって、今があるということであり、天与の条件だけで自然発生したものではないということがわかります。
 南あわじ市でも、少しずつですが、移住される方が増えています。地元と移住者とが知恵を出し合えば、神山町のような好循環を起こすことは十分可能だと思います。
 また、私は、遠隔地での仕事を支えているIT技術、ことにテレワークには、大きな可能性を感じます。
 神山町のように、大都市の企業のサテライト(支部)を誘致できることはもちろんですが、育児や介護で自宅を離れられない人も仕事ができ、働く人のすそ野を拡大することができます。また、複数地域に分散して市役所のサテライトを置くことで、住民サービスの拡大にもつながります。研究すべき課題と考えています。