本文
政務活動費収支報告書(平成29年12月~平成30年3月)
会派名 : 日本共産党南あわじ市議団
金額 |
摘要 |
|
---|---|---|
政務活動費 |
100,000円 |
金額 |
摘要 |
|
---|---|---|
調査研究費 |
81,409円 |
交通費、宿泊費 |
研修費 |
4,600円 |
参加費、交通費 |
広報広聴費 |
0円 |
|
要請・陳情活動費 |
0円 |
|
会議費 |
0円 |
|
資料作成費 |
0円 |
|
資料購入費 |
11,848円 |
書籍購入費 |
事務費 |
0円 |
|
計 |
97,857円 |
残額 2,143円(市に返納されました。)
平成30年2月13日~14日(※市民連合クラブとの合同調査)
・観光経済課産業振興室
東北大震災の年、宿泊客が246万人となり、熱海市で最低の状態となった。
2006年に現在の斎藤市長が就任した事をきっかけに財政危機宣言を行い職員数の削減、徴税体制の強化、遊休資産の売却などの手法で財政再建を行い、その一方で民間団体との連携を図りながら、地域振興をなしつつある実例を学んだ。
熱海市は静岡県でも1、2を争う高齢化の進む自治体である。川根本町46.4%、西伊豆町46.8%、熱海市は44.8%(平成28年)となっている。人口も1975年には5万人を超えていたが、現在では37千人となっている。出生率1.22、生活保護率1.68%と静岡県内の平均を上回り住民一人当たりの市債残高が43.4万円と厳しい実態が数値化されている。
昭和50年には人口50万人構想が出され、公営住宅や水道などのインフラ整備への投資が次々と行われた結果多額の起債残高となる一方、観光以外の有力な産業がない熱海市でありながら入り込み、宿泊とも激減し、ピーク時昭和44年には532万人の宿泊がありながら平成23年度246万人となった。
斎藤市長が着目したのは、NPOとして活動始めていた市来氏らの取り組みとのコラボレーションであった。
財政危機宣言を行う中で、市民意識改革の取り組みを行い、同時に行政だけでは解決できない地域振興を民間と二人三脚で取り組む事を決断した事である。また、マスコミも活用し、テレビにとり上げられる工夫として、ADさんいらっしゃい活動、挑戦者を応援するa-biz事業、ATAMI2030年会議の開催での幅広い市民協働型のまちづくり構想99℃と銘うった創業支援プログラムなど民に存在する工夫とエネルギーを組み尽くす仕組みに成功している。現段階では、構想から実行へと移行する時期となっているが、その中でもすでに先進的な実績も生まれている。それは、この後に視察をしたatamistaの取り組みにより紹介することになるが、民間から公募で年収1200万円の条件で起業アドバイザーを市の特別な職員として採用し、空き店舗を活用した地域再生の取り組みの成果となっている。現状では、起業数81、廃業数110となっているが、こうした取り組みがなければ起業数81がほとんどなく、廃業数もはるかに増えていたのではないかと推測される。
・補助金は出さない
補助金を積み上げて起業を支援するという考え方が普通だと思うが、熱海市では、補助金はかえって起業成功の妨げになると考えている。補助金がある間は辻褄が合ったとしても補助金の切れ目が事業の切れ目になることが多いという教訓を熱海市は得ている。それよりも経験豊かなアドバイザー選定に努力したということである。
熱海市の実例は、市の構え特に首長の構えと民間の意欲ある取り組みの合流という法則的な成功の実例であると考察する。市民と行政の願いと行動がうまく噛み合ってこその地域再生である。その思いを強くすることができた。
・Atamista 市来広一郎氏の講演
熱海市で取り組んでいる地域再生の民間のエースが市来氏である。斎藤市長就任とほぼ同時期に熱海市に帰省し、その志を立てている。2011年に熱海の中心市街地再生を目的に株式会社machimoriと立ち上げ、空き家となっている地域の再生に足を踏み出している。
パチンコ屋の空き店舗に、ゲストハウスを立ち上げたのは2015年。2年間で6739人のゲスト、外国人はその2割である。営業的にはまだまだこれからだが業者に頼らず志を共有する仲間が集まり、手作りで作り上げた施設には人の集まる空気が流れていた。今後も若者のサロンとして発展していくだろう。同様の手法はカフェRoCAを2012年にオープン。若者や外国人を劇的に吸い込んでいった先進例を見せている。ペットオッケー、無料Wi-Fiスポットなど特徴を打ち出し、ターゲットを絞った手法は功を奏し、たちまち人気スポットになった。
手始めにおこなったこの事業は熱海銀座と呼ばれながら、地域衰退の象徴となっていた商店街、撤退した証券会社の跡地とパチンコ屋。いわば熱海銀座の衰退の象徴的施設であった。彼らのリベンジとも言える、再生をスタートさせるには象徴的な施設であったといえる。
補助金に頼らず、自己資金と仲間を作りながら、立ち上げたこのカフェは彼らの発想の柱「これまでのまちづくりは税金依存、これからは稼ぐまちづくり」のもとに、工夫をこらしながら人のつながりを大切に行政に頼らない地域おこしに取り組んだ賜物であり、補助金に頼らず、相違と工夫、努力と自分たちの柔軟な発想で縫い合わせた地域再生事業は教訓的である。
市来氏の活動のエネルギーの源泉は熱海愛である。生まれ育ったこの地域を廃れさせてはいけないとの熱い思いが根底にあり、知性と発想力に支えられた事業の今後を見守りたい。