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有害鳥獣による被害を防ぐためには、集落からシカやイノシシを遠ざけることが必要です。そのためには、個人単位での防護柵整備や捕獲といった対応ではなく、集落全体の対策が不可欠となります。
南あわじ市では、集落ぐるみで取り組む鳥獣対策のモデルとなる集落の育成を進めています。
集落内に出没するシカ(夜間撮影)
阿万吹上町集落は、シカやイノシシによる農作物被害に悩まされていました。平成29年度から令和2年度まで、県事業「ストップ・ザ・獣害事業」に事業を活用し、捕獲の推進に取り組んでいましたが、農作物被害は継続していました。
南あわじ市では、これまでの取組をさらに発展させ、鳥獣対策の課題に多角的に取り組む集落のモデル候補として、集落の取組を支援していくこととなりました。
対策の検討や調査には、兵庫県立大学や吉備国際大学にも協力いただき、集落での対策検討会を重ねながら現状の課題と対策を整理しました。
検討会開催の様子
防護柵の整備は進められていたものの、防護柵の切れ目を中心に被害が発生していることがわかりました。捕獲については、他の地区と比較しても高い実績を上げているものの、特定の住民に負担が偏っていることが課題として上がりました。
カメラ等による調査の結果、集落周辺のどこに野生動物が集中しているのかが判明しました。兵庫県立大学教授の山端直人氏をお招きし、吉備国際大学の学生も交えながら、必要な対策について話し合いが行われました。
兵庫県立大学と吉備国際大学で集落周辺の防護柵の状態や野生動物の痕跡調査を実施し、調査結果について吉備国際大学の学生から集落へ報告しました。
集落内の捕獲の担い手を確保するために、自治会長自ら狩猟免許を取得し、捕獲の推進について対応方針を協議しました。
また、防護柵の整備範囲について、野生動物の集落への侵入ルートをふさぐため、農会長が率先し現場を確認し、整備計画図を作成しました。防護柵整備と維持管理を目的とした管理組合を立ち上げ、防護柵設置に着手しました。
引き続き集落ぐるみで課題解決に向けた対策の検討に取り組んでいきます。