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広報南あわじ「市政ひろば2」(平成31年1月号)

印刷用ページを表示する更新日:2019年1月1日更新 <外部リンク>

市政ひろば2

受け継がれる伝統芸能、淡路人形浄瑠璃

淡路人形浄瑠璃の歴史

淡路人形浄瑠璃の起源は、室町時代末に西宮神社に仕えていた百太夫という傀儡師(人形遣い)が、三原郡三条村(南あわじ市市三條)に来て、地元の人に人形操りの技を伝えたとの説が有力です。江戸時代には阿波藩主・蜂須賀氏の支援を受け、享保・元文の頃(18世紀はじめ)に最も栄え、上村源之丞座、市村六之丞座など島内に40以上の座本があり、全国を巡業して人形浄瑠璃文化を伝えてきました。北は東北、南は九州一円での興行記録が残っています。
全国各地に今も残る100か所以上の伝統人形芝居の多くは淡路座の影響を受けており、淡路島が人形芝居のルーツと言われています。

淡路人形座の誕生

全国各地でもてはやされた淡路人形芝居でしたが、明治になると、大きな時代の変化の中で観客の関心が他の娯楽に移ったり、人形芝居の修行の辛さから若い後継者が育たなかったりで、古くからの人形座は次々に姿を消し、淡路人形芝居は消滅の危機にさらされました。
そんな時、淡路島の伝統芸能を守ろうとする人々の力で1964年「淡路人形座」が立ち上げられました。
以来、淡路人形座は、島内で唯一プロとして活動する人形座として、常設会館での年間1200回以上の公演のほか、島内外への出張公演約100回、海外公演、後継者団体への指導など、淡路人形浄瑠璃の継承・発展に努めています。

淡路人形座の活動

学校へ出前講座

地元の子どもたちに淡路人形浄瑠璃の魅力を伝え、親しんでもらいたいとの思いから、平成16年から島内小中学校への出前講座を行っています。
また、平成16年度からは、文化庁の補助を受けて実施するようになり、徐々に内容も充実し、実施する学校数も増加。今年度は島内18校の小・中・高等学校で出前講座を行いました。
太夫・三味線・三人遣いの人形をそれぞれに分かりやすく説明し、実際に子どもたちに体験してもらうコーナーも設けています。

後継者の育成指導

淡路人形座の座員は、淡路人形座での公演の後、学校や子ども会活動の指導を行っています。
一流の技芸をプロの先輩たちから学ぶ子どもたちの中には、師匠や先輩に憧れ、淡路人形座に入座する部員もいます。
淡路島から人形浄瑠璃の技芸を絶やしてはならないと行政、淡路人形芝居サポートクラブ、学校や地域、保護者などの協力を得て、後継者団体の部員も熱心に取り組んでいます。

淡路人形浄瑠璃の継承に取り組む後継者団体等(順不同)
  • 市小学校郷土文化部
  • 三原中学校郷土部
  • 南淡中学校郷土芸能部
  • 淡路三原高等学校郷土部
  • 福井子供会人形浄瑠璃部
  • 淡路人形浄瑠璃青年研究会
  • 淡路人形芸舞組
県代表でパリ公演

日仏友好160周年を記念してパリ市内を中心に開催されている「ジャポニスム2018」。淡路人形座は、兵庫県代表として、昨年10月15日から21日の間、パリ日本文化会館で2度の公演を行いました。
淡路人形座のフランスでの公演は、今回が5度目。「戎舞」「人形解説」「玉藻前曦袂 狐七化けの段」を披露し、観客から盛大な拍手が送られました。
パリ公演を通じて、淡路人形浄瑠璃の素晴らしさを世界に発信しました。

伝統芸能を伝承する者

  • 淡路人形座支配人 坂東 千秋さん

淡路人形座が創設されてから、54年が過ぎました。淡路人形浄瑠璃の長い盛衰の歴史の中では、わずか10分の1にすぎません。しかし、今なら間に合うとの熱い想いで、廃業になっていた吉田傳次郎座を譲り受け、淡路人形座を立ち上げ、復興への道を必死に歩み続けた多くの同志先輩の努力で現在があります。
座員一人ひとりが、どうすればより魅力あるものとして次の世代に引き継ぎ、発展させていくことができるか真剣に考え、取り組んでいます。
国内外で公演し伝統芸能を通じて、淡路島民の心意気を発信する淡路人形座ですが、地元の皆さまにこそ、ご覧いただきたいと思っております。今後ともご指導、ご鞭撻べんたつくださいますようお願い申しあげます。

伝統芸能を受け継ぐ者

  • 淡路三原高等学校2年郷土部部長 森田 陽菜さん

私が最初に人形浄瑠璃にふれたのは、小学校6年生の時でした。雪の中を歩いて淡路人形座へ行き、「伊達娘恋緋鹿子」を鑑賞しました。大きな櫓の舞台セット、それに登るお七の人間のような動き、そして舞台に降る雪を今でも鮮明に覚えています。 その後、中学校、高校で演者として人形浄瑠璃に関わり、人形の動きや、物語の奥深さを師匠から教わっています。部活動を通して、観客の方に喜んでいただき、私は大きく成長することができました。これからも大好きな人形浄瑠璃に関わり続け、淡路島が誇る伝統芸能を後の世代に受け継ぐことが私の夢です。