区分
市指定
分類
有形文化財
種別
書跡
指定年月日
令和5年(2023年)2月20日
所有者及び管理者
法蔵寺
所在地
南あわじ市市市40-1
時代または年代
安土桃山時代
備考
大きさ:高さ31.4センチ、幅49.6センチ
材質:紙
2000年に1巻の巻子に改装
内容
羽柴秀吉による淡路攻めの後、天正9年(1581)に6つの村(注1)に対して出された禁制(注2)です。戦の勝者である羽柴軍による村内での乱暴狼藉や放火を禁止し、小さな窃盗をしても厳罰に処すことを、秀吉が6つの村に約束したものです。
この史料は、秀吉の花押(注3)や書風、筆の勢いなどから、正本(注4)と考えられます。
江戸時代終わりに書かれた淡路四草(注5)には、この禁制書と同じ日付でほぼ同じ内容のものが、三原郡掃守村、津名郡檜原下村、机浦にも伝わっていたと書かれており、淡路の村々に同じ内容の禁制が出されていたことがわかります。
この史料は、秀吉が出した禁制書の中で単に最初期のもので現存数が少ないことだけでなく、戦国末期における村落の戦への対処方法がわかるものとして、非常に重要な史料です。
注1 村の名は書かれていないが、江戸時代の郷土史家小西友直は、市村・三条村・善光寺村・小井村・浦壁村・壇村ではないかと考えた
注2 禁制…掟や禁令を広く知らしめるため作られる文書のひとつ。戦国期には、戦乱による被害を避けるため、寺社などが軍勢の将や戦国大名に保護を求めて代価を支払い、これに応えて禁制が出される
注3 花押…文書の差出人が、本人独自の印として書き加える図案化された署名のこと
注4 正本…権限のある人によって書かれた、原本と同一の効力を持つ文書のこと
注5 淡路四草…江戸時代後期に書かれた郷土史『淡路常磐草』、『淡路草』、『堅磐草』、『味地草』のこと