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平成29年度所信表明

印刷用ページを表示する更新日:2018年3月23日更新 <外部リンク>

所信表明を述べる守本市長

所信表明と当面の取組みについて [PDFファイル/919KB]

目次

  • 所信
  • 時代認識と市政理念
  • 仕事・社会貢献の継続による健康寿命の伸長
  • 子育て環境の向上と教育の充実
  • 地域の産業の活性化
  • 農林水産業の振興
  • 観光産業の振興
  • 商工業の振興
  • 淡路島ブランドの確立
  • 安心・安全なまちづくり
  • 対話と行動の行政
  • 平成29年度歳入歳出予算
  • むすびに

第71回南あわじ市議会定例会の開会にあたり、所信の一端と市政に臨むにあたっての当面の取組みに関して申し上げます。

所信

今回、多くの市民の皆様方のご支援をいただき、市長に就任することとなりました。その重責をひしひしと感じるとともに、今後、4年間の市政執行に、未来へのビジョンと責任をもって当たってまいります。私が市政に臨む基本的な考え方は「生きたい・行きたい・活きたい 南あわじに!」であります。住民にとって住みやすく生きがいに溢れたまち、市外の方々にとっても、観光、移住などの面で更に魅力ある、訪れてみたい、行ってみたい、住んでみたいまち、すべての人が活きいきと社会貢献を通じた生きがいをもち続け、周囲から認められる、そんな南あわじ市にしたいとの強い想いを持っています。
 そのためには、市民と行政が同じ方向を向き共に進んでいくことが必要であります。その方向性を5つの行動として提案します。

一つ目は、超高齢化社会の克服であります。

その正道は、多くの市民の方々が、長く社会を支える側に立ち続け、生きがいをもってご活躍いただくことです。その生きがいを通じて、精神的にも肉体的にも健康であり続ける、すなわち、健康寿命の延伸を実現していきたいと思います。

二つ目は、子育て環境の向上と教育の充実であります。

本市では、3歳児以上の保育料無料化をはじめとする、子育て支援への思い切った施策展開を図るとともに、市内小中学校における耐震化、空調設備や情報機器の整備など教育環境の充実にも県下に先駆けて取り組んでまいりました。今後ともこれら施策を継続・充実し、若い世代が本市で子どもを産み育てたいと思ってくれる魅力ある子育て・教育環境づくりを進めます。

三つ目は、地域の資源を活かした、地元産業の活性化であります。

本市には、農・畜・水産業など一次産業が勢ぞろいしており、食材が豊富であることは言うまでもありません。私自身、ふるさと南あわじ市を離れ、東京でも長い年月を過ごしましたが、外から見ると淡路島は一つです。このイメージを三市連携によるチーム淡路島として磨き上げていくことで、ブランドを確立していけると考えております。

四つ目は、大型台風やゲリラ豪雨などの自然災害、南海トラフ巨大地震やこれに起因する津波対策などへの備えをはじめとする、安心・安全のまちづくりであります。

阪神淡路大震災や東日本大震災での教訓を活かし、人命最優先の防災対策とともに、強靭なまちづくりを進め、将来にわたる安心・安全を確保することは、現市政を預かるものとしての責務であると考えております。

五つ目としましては、対話と行動の市政の実現であります。

行政は、住民の発意や行動をサポートする立場であるとの考え方に立ち、市民との連携を深めてまいります。市の職員が市民の皆様と顔と顔でつながり、対話を基に地域の課題や意志を正確に把握し、最善な対処方法を見つけ出し、透明性・公正性を確保しつつ執行に当たる。そのような市役所像を追及していきたいと考えております。

以上の所信のあらましを申し上げた上で、今後の市政を運営・経営するに当たり、それぞれの行動の具体化の方策と関連する主要事業等について申し上げます。なお、今回提案させていただく予算については、この所信に照らし、中田前市長が進めてこられた運営方針との整合性・連続性を維持すべきものを精査・計上しており、更に新体制として踏み込んで取り組むべきものについては、早期に検討の上、しかるべき時期に、補正予算としてご提案する所存である点、あらかじめ申しあげます。

時代認識と市政理念

「日本を世界の真ん中で輝かせる」「誰もが、その能力を発揮できる一億総活躍社会を創り上げる」安倍総理の年頭記者会見などでの言葉です。そして、本年は「子や孫の世代のために、未来を拓く」とし、引き続き経済の好循環を前に進めていくと決意を述べられています。
また、井戸兵庫県知事は、新年の抱負の中で「地域創生の本格化」「地域創生を支える社会基盤の充実」「自立できる基盤の確立」の3つを掲げ、淡路島内においては、「淡路島の元気づくり」として、淡路島の自然、歴史、文化、食など多彩な地域資源を活用し、交流人口と定住人口の増加対策や地域公共交通の維持確保などに取り組むとともに、津波や水害等に強い安心・安全な島づくりを目指すとされています。
私は、これからの地域づくりにおいて、一番中心に置くべきは、誰もが能力を発揮し、それが地域から評価される、そのような全員参加、総活躍の環境づくりであると考えます。
その観点から、シニア層の活躍の場の拡大や男女問わず安心して働く環境づくりを目指す、子育て・教育環境整備は極めて重要な位置づけにあります。

仕事・社会貢献の継続による健康寿命の伸長

第一の行動として、仕事・社会貢献継続による健康寿命の伸長について申し述べます。現在の日本社会が直面する最大の課題は、到来しつつある超高齢化社会への対応であろうと思います。本市においても、すでに高齢化率は32パーセントを超え、人口の大きな部分を占めるに至っています。この課題を克服する確実な方法は、シニア層の皆様が、極力長く社会を支える側に立ち続け、また、その生きがい、喜びを通じて精神的・肉体的に健康を保っていただくことです。私は、30年余りの間、国の行政に携わりましたが、ある時点から、この課題をライフワークととらえ、時々に与えられた業務の実施において、「人生二毛作社会を創る」という観点でできる限りの配慮をしてまいりました。そして、今、南あわじ市長として、いよいよ正面からこの課題に取り組む時期が来たと感じています。
本市では、65歳以上の方の就業率が全国平均と比べても約二倍あり、加えて、地域でのボランティア活動、スポーツや文化活動もシニア層を中心に活発に行われています。この基盤を活用して、シニア層の方のさらなる仕事の場、活躍の場づくりに取り組みたいと思います。
これを第一に掲げたことには理由があります。仕事・社会貢献を通じ、市民の健康寿命が伸びることは、この社会に多くの果実をもたらします。取り組まれるご本人が最後まで充実した人生を送れることが最も重要であることは論を待ちませんが、加えて、地域としても、医療・介護費用の低減により、若者世代の財政負担の軽減や子育て施策の充実が図られます。また、現在、担い手が不足している、介護現場、ひとり暮らしの見守り、森林の整備等での活躍が進めば、地域が悩む社会的課題の解決につながります。更には、淡路島が、年齢問わず元気に活躍する「健康長寿の島」となれば、地域の強みである豊かな食産業、観光業の付加価値が一段と高まります。年金に加えて多少の収入があれば、それがまた消費を通じて地域の経済循環の拡大につながっていきます。まさに一石何鳥もの効果が期待できるのです。そうしたことから、私は、この取り組みの成否が、地域活性化の大きな鍵を握ると考えております。
このため、ボランティア・ポイントなどの活用から本格的な雇用開発まで、能力・意欲に見合った形で、シニア層の活躍の場の開拓を進めていく取り組みに着手します。まずは、この地域での可能性や、他地域の類似の取り組みを幅広く研究するとともに、医療福祉団体、老人クラブ、シルバー人材センター、その他各種団体とも連携しつつ、部局を超えたチームでの構想づくりを進めてまいります。
こうした基本方針に立ちつつ、来年度においては、引き続き住民全体として健康寿命を延ばしていくとの観点から、いきいき百歳体操の推進などを通じて健康意識の定着を図るとともに、町ぐるみ健診を通して40歳以上の特定健康診査、19歳から39歳の若い世代の健康診査を支援し、疾病の早期発見や重症化防止及び生活改善、介護予防に努めます。
また、現実に医療・介護が必要となった方々のケアの充実も重要です。平成29年度末までの開設を予定している旧津井小学校跡地での「福祉の里」の取組みをはじめ、第6期老人福祉計画及び介護保険事業計画に基づき、「地域力と互助・共助」による高齢者等が安心して暮らせるまちづくりを推進するとともに、医師会との連携のもと、休日応急診療や病院輪番制(りんばんせい)時間外診療、休日・夜間小児救急体制を堅持し、外出支援サービスや緊急通報システムを適切に運用します。国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険事業など各種福祉医療制度については、適正な運営に努めてまいります。
誰もが活躍できる社会を目指すという観点からは、障がい児を持つ保護者や一人親家庭、生活保護世帯、一人暮らし世帯等に対する各種支援や生活保護に至る前の自立支援策の強化も重要です。障がいのある方への福祉見舞金の支給と併せて社会福祉協議会を中心とした福祉ボランティア活動や民生委員児童委員協議会の見守り活動も支援してまいります。

子育て環境の向上と教育の充実

第二の行動は、子育て環境の向上と教育の充実です。かつて、若者の定着のためには、雇用が最も重要と言われていました。しかし、現在、農業の後継者不足のみならず、立地企業にとっても、人手不足は深刻になっています。すなわち、雇用は必要条件ですが、十分条件ではありません。働く場に加えて、住みたいまちとしての魅力がなければ、人の定住・移住はおぼつきません。中国の諺に、孟母(もうぼ)三遷(さんせん)があります。若い世代にとって、子育て・教育環境は、住居を決める最大の要素と言っても過言ではありません。
昨年末発表された、平成27年の国勢調査に基づく合計特殊出生率で本市は、1.83と県下ナンバー1になりました。数字に一喜一憂するわけではありませんが、継続して取り組んできた少子対策の効果の表れと考えています。この流れを更に確実なものとすべく、引き続き子育て支援のフロントランナーとなる取組みを展開します。子育て支援コンシェルジュによる妊娠前・出産期からの支援や、平成27年度から取り組んでいる3歳から5歳児の保育料無料化とともに、中学3年生までの入院・通院費無料化や在宅子育て支援等、妊産婦、乳幼児及び保護者への切れ目ない施策を継続します。
また、阿万保育所の老朽化に伴う大規模改修をはじめ、保育所のトイレの改修や県警ホットラインシステムを更新し、安心・安全な子育て環境の整備を進めるとともに、子育て学習・支援センター活動、学童保育や放課後子ども教室、延長保育や一時保育を継続し、保育士の安定的な確保にも配慮しつつ、地域子育て支援事業の拡充に努めてまいります。
何が魅力ある教育環境かについては、様々なご意見があろうかと思いますが、私は、地域にある素材や資源を活用し、子どもたちが現場・現物に触れるなかで、自ら考え、意見を交わし、社会性を身につける、そのような教育ではないかと考えます。
新たな教育長のもとで、この地域の大きな課題である防災という観点から、直面する環境に対峙し、自ら考え、学びあう習慣を、そして、故郷を大切にし、助け合いの心を育む、全人的な教育環境づくりをスタートさせたいと思います。また、地域に根付く、だんじり唄などの伝統芸能を、表現力や生きる力の養成に活用しつつ、大きい学校はそのメリットを最大限に活かした切磋琢磨の文化を、小さい学校は一人ひとりの個性を生かした丁寧な成長を実現する教育を目指したいと思います。
こうした観点を踏まえ、総合教育会議での議論を重ね、教育委員会や教職員、地域指導者との連携を強化してまいります。新しい学習指導要領の適用が迫っています。「ゆずりはプロジェクト事業」を推進しつつ、教員の研修・育成の更なる体制整備を検討してまいります。
また、学校教育の実を上げるという視点から、小学校4,5年生を対象にした算数・国語の到達度テストの実施や外国語活動の充実など、学力の向上にも取り組むとともに、小中学校における「夢プロジェクト」の継続のほか、新たに「かけっこマニュアル」を導入し小学生の体力アップを目指します。
トライやる・ウィークなどの体験事業、自然学校や道徳教育を推進するとともに、いじめ防止に積極的に取り組み、命と人権を大切にする学習活動の充実を図ってまいります。また、各地域における、「地域学校共同本部」で学校・地域・家庭の連携による青少年健全育成の取組みを進めます。体育・文化活動での選手派遣を支援するほか、学校給食へのふるさと食材の提供によって、自然の恵みと自らの健康のありがたみを実感する食育を推進します。
すべての子どもたちに適切な教育の環境を提供するため、就学援助対策や遠距離通学者に対するスクールバスの確保、離島の高校生就学支援を継続してまいります。
昨年、国際姉妹都市提携から20周年を迎えた米国セライナ市との交流を継続します。市の支援を受けてセライナに派遣されたことがきっかけで、将来のビジョンが固まり、人生の転機になった生徒がいると、伺いました。本年も学生の受け入れなどを通じた国際交流を推進します。
施設・設備の充実にも引き続き取り組みます。小学校の空調設備整備を段階的に進め、今年度、更新・拡充を図った情報機器を活用した学習活動を推進します。給食センター設備の計画的な維持・修繕などの実施とともに、小中学校、幼稚園の改修、修繕並びに適正な運営管理に努めます。
子育て支援、教育の充実で魅力を増した地域には、若い世代も惹かれるものと思います。そのチャンスを現実化すべく、移住促進のため、市外からの転入者の住宅取得支援を継続し、縁結び事業や新婚世帯家賃補助、通勤通学者の交通費助成の継続や空き家を活用した田舎暮らしを推進します。
昨年12月、実に長い年月、淡路人形浄瑠璃を支えていただいた本市名誉市民で人間国宝の鶴澤友路師匠が亡くなりました。まばゆいばかりの太陽のような存在を亡くした喪失感は大きいですが、師匠の意思を引継ぎ、500年余りの伝統を誇る淡路人形浄瑠璃を伝承し、更に発展させていかねばならないと決意を新たにしました。島内外の小学生が淡路人形浄瑠璃の魅力に触れる機会を増やし、ファンの拡大や後継者育成を進めるべく、引き続き淡路人形協会を支援してまいります。
この地域には、生涯を通じて学ぼうとする文化があると感じます。だんじり唄をはじめとする伝統芸能の保存継承はその象徴です。芸術、学術、スポーツ等、先輩から後輩につなぐ、あるいは相互に学び合う生涯学習の文化を更にのばしていくことが、郷土愛の醸成のみならず、生きがいの創造、地域社会の活力の維持向上という面でも極めて重要です。
そのため、滝川記念美術館「玉青館」や「淡路人形浄瑠璃資料館」、中央公民館や各地区公民館を核とした講座やサークル活動を支援し、多様な学習と交流の機会を提供してまいります。
また、そうした活動を支える拠点である公民館や体育施設、図書館や美術館などの改修を行うとともに、公共施設等総合管理計画を基にした適切な管理・運営を行ってまいります。
この地に戦争の悲惨さを後世に伝え、平和を祈念するとともに、人々が美しい眺望を楽しみながら憩うことができる「若人の広場公園」があることを誇りに思います。ここに「永遠の灯(ともしび)」を灯し続けてまいります。また、平成27年に出土した松帆銅鐸の調査の継続とともに、県とも連携した講演会や展示などを通じ、新たな発見を契機に市民自らが淡路島の歴史への理解を深め、発信できる機会を拡大してまいります。

地域の産業の活性化

第三の行動は、地域の資源を活かした食産業、観光産業、地場産業の活性化です。農・畜・水産業という多様な食の要素が勢揃いし、食糧自給率100パーセントをはるかに超える生産力を誇る食産業を有することは淡路島、南あわじ市の最大の強みです。加えて、淡路島の豊かな自然、深みのある歴史という強みを活かした観光業の振興は、インバウンドも含めて大きな伸びしろがあり、域内産業への波及も期待されます。これらを最大限に活かすためには、それぞれの産業について、生産力・競争力を維持向上し、後継者を育成し、持続的な産業の基盤を築くのみならず、食産業と観光業との連携の強化により、食と自然と歴史の三つが揃った淡路島という地域全体のブランドづくりを強力に進め、顧客の吸引力を拡大し、付加価値を向上させることが極めて重要です。
また、そうした産業振興の企画・支援を担う機能、すなわち、商品企画、ITサポート等についても、地場の企業の活用やベンチャー企業の誘致を行うことにより、地域への人材、知見の蓄積が進みます。

農林水産業の振興

農業については、地域の生産力向上や、後継者づくりの観点から、担い手への農地集積・集約化等による構造改革を推進し、「集落の未来設計図」策定支援事業により人・農地プラン策定を支援します。その際、長期的な視点から、平地部においては、さらなる集約化・機械化の推進による競争力の強化を図るとともに、中山間地においては、作物の多様化、高付加価値化等を進め、大型直売所「あわじ島まるごと食の拠点施設 美菜恋来屋」をはじめとする直売場やネット販売と結ぶなど、あわじ島農協とも連携しつつ、地域の特色に配慮した支援を進めます。農業の担い手づくりは、後継者問題の解消、農業生産力の維持向上のみならず、移住を通じた人口減少、少子高齢化への対応としても意義深いものであるため、認定農業者や農業女子プロジェクト支援による既存農家の育成と、U・Iターンなどの新規就農者の支援を平行して行ってまいります。
次代の農業づくり、人づくりに向けて、吉備国際大学地域創成農学部にも大きく期待しています。本年3月に送り出す初めての卒業生の内、12名が本市内で就職、他にも3名の方が島内で就職と聞いています。昨年初めて開催された学園祭「くにうみ祭」も多くの人で賑わい、8つの研究グループによる地域資源を活用した研究や市民を対象にした生涯学習講座に取り組まれるなど、地域連携も急速に深まっています。引き続き、同大学との連携を進め、人材育成・知識普及の両面で、わがまちの大学として定着するよう支援してまいります。
本市に根付く伝統的な三毛作農業について、平成30年度の日本農業遺産認定を目標に準備を進めます。三毛作を支えているのは良質な土づくりに必要な堆肥の存在です。乳・和牛の増頭、北海道牛導入や乳質改善の取組みへの支援を継続し、酪農・畜産業の発展を通じて良質な土づくりも応援します。
生産性向上に不可欠な、ほ場整備事業をはじめとする一体的なハード面の整備にも積極的に取り組んでまいります。養宜、国衙、新田地区等の大規模な県営事業を着実に進めます。農業用水の確保、水害防止に重要な役割を担うため池について、稲田新池や宮中池、泥鰌谷池の改修工事を着実にすすめ、八木皿池や東町皿池などで調査設計に着手します。オニオン道路の整備を加速し、地籍調査では新たに中条中筋地区に取り組む他、引き続き、倭文長田地区や松帆慶野地区等において一筆調査を実施します。多面的機能支払事業を通じ、課題を克服する自治会を支援するとともに、全国に先駆け、ドローンを活用した農作物作柄や病害調査等幅広く、実用検証を進めます。
有害鳥獣対策をはじめ、リスクへの備えも重要です。引き続き進入防止柵の設置や捕獲拡大、狩猟免許取得への支援などを進めつつ、森林の整備やバッファゾーンの設置など、持続的な解決につながる方策を、地元と連携しつつ工夫してまいります。農業のセーフティネットである農業共済事業を適切に実施するとともに、森林の防災機能、景勝地の景観の保全のため松くい虫防除を継続します。低地対策につきましても、治水総合対策協議会において県と連携協力を図りながら進めてまいります。
漁業・水産業も、食の淡路島を支える重要かつ魅力的な産業です。ちりめんやタイ、ハモなどに加え、近年は、淡路島3年とらふぐ、ヒラメの養殖など多様な魚種のブランド化が進んでいます。一方で、天然物の漁獲高は年々減少傾向にあり、後継者不足にも悩んでいます。このため、県とも連携を図りながら、並型魚礁等の設置による漁場環境の改善、アオリイカの産卵床沈設、産卵用タコ壷投入、タイ、ヒラメ、オニオコゼ、キジハタ等の種苗中間育成や放流事業、サクラマス養殖やワカメ養殖の自家採苗量産化に向けた取組みを支援し、漁業の再生に努めます。
また、灘漁港での浮桟橋及び対面護岸の耐震化工事の実施設計に着手するなど、漁港施設を適切に管理するとともに、海釣り公園の適正な維持管理に努めてまいります。

観光産業の振興

次に、観光産業の振興について申し述べます。2,403万9千人、日本政府観光局が発表した2016年の訪日外客数の推計値です。前年比21.8%増と、昨年に引き続き過去最高を更新しました。日本の観光の潜在力の大きさを感じます。これからは、国内旅行客、インバウンド旅行客両方に目配りしながら地域の観光の基盤整備に努める必要があります。2015年には花みどりフェアが開催され、淡路島への観光入込客数は増加しましたが、昨年はその反動もありやや減少傾向となりました。県では、淡路島来訪者増加大作戦と銘打ち、引き続き淡路島名誉大使の桂文枝さんを起用した誘客キャンペーンや松帆銅鐸、日本遺産、鳴門の渦潮等を活用した施策に力を注いでいただいています。また、淡路県民局、淡路島三市、観光協会などが連携し「淡路島総合観光戦略」を策定する予定です。本市におきましても、当該戦略を踏まえつつ、SNSによる情報発信などPRの一層の推進を図るなど、本市のふるさと資源を十二分に活用した交流人口増加に取り組みます。
シティプロモーション「あわじ国」は先般公開したバーチャンリアリティも話題となり、各種メディアで取り上げられ、著名人の力を借りた市の広報戦略の契機となりました。「あわじ国」の上沼恵美子さん、淡路島名誉大使の桂文枝さん、地域の観光振興等にご尽力いただいている杉良太郎さん、伍代夏子さんの力強い後押しも引き続きいただきながら、より多くの皆様に、淡路島、南あわじ市を知っていただけるよう「売り出そう南あわじ物産」の取組みと併せ、挑戦してまいります。
一方、淡路島、そして南あわじ市には、まだ活用されていない資産が数多くあります。松帆銅鐸をはじめとする、深みのある歴史はその代表です。日本遺産関連の地点それぞれに未だ解明されていない多くの謎がありますが、その謎を、来訪者自身が考古学者となって仮説を立て、検証していく、そんな淡路島ならではの観光モデルを、三市連携で創造できないかと夢が広がります。
観光拠点である、「淡路ファームパークイングランドの丘」と「美菜恋来屋」との連携強化、「淡路人形座」「なないろ館」の魅力向上や「灘黒岩水仙郷」の集客拡大等、周遊性のある観光地づくりに努めます。また、名勝慶野松原などの環境整備についても取り組んでまいります。
本年3月リニューアル竣工する「大鳴門橋記念館(うずしお科学館)」での集客と渦潮のメカニズムの学習拠点としてPRを行いながら、県の支援の下、『兵庫・徳島「鳴門の渦潮」世界遺産登録推進協議会』での地形・地質調査を進めるとともに、鳴門市とも連携を深め、世界遺産登録推進を旗印に、幅広く市民や産業関係者を取り込んだ交流人口拡大の運動とすべく普及啓発に努めます。

商工業の振興

魅力あるまちづくりにとって、域内の事業者の活発な活動と成長、加えて良質の雇用の場の創造、つまり商工業の振興は不可欠です。市内中小企業者等の経営安定・販売促進活動や新規創業者育成拠点の整備を支援するとともに、更なる企業誘致に取り組みます。その方策として、ジェトロ神戸を通じた海外進出の促進、地域おこし協力隊との連携による淡路島手延べそうめんのPRや特産品の販路開拓など、地場・伝統産業の支援とともに、地元金融機関との連携を強化しつつ、まちのにぎわいづくりに向けた取組みや中小企業の課題解決に向けた経営相談等への支援を継続します。
  主要地場産業である窯業については、淡路瓦を使用する個人住宅の屋根工事に対する助成などにより、甍街なみ景観形成の促進の努力を続けるとともに、魅力発信に努めます。加えて、住宅の省エネ・断熱性能の重要性が急速に高まるなど、環境変化に対応する企業努力を後押ししつつ、新たな可能性を産業界とともに探求してまいります。

淡路島ブランドの確立

昨年度、兵庫県下ナンバー1となった、ふるさと南あわじ応援寄附金。ありがたいことに、本年も多くの方から応援をいただいております。本市のふるさと産品の実力を証明していると申せます。今後も、工夫を凝らした取組みを続けてまいります。
外から見ると淡路島は一つです。付加価値向上の視点では、南あわじブランドとともに、島全体で生産物のブランドイメージを育んでいく必要があると考えます。洲本市、淡路市との連携により、高品質の食の島、豊かな自然と歴史の島としての認知度向上・イメージ作りを推進するため、島外での宣伝活動の奨励や淡路島三市が連携したアンテナショップを通じ、ふるさと産品のPRと産業振興につなげてまいります。

安心・安全なまちづくり

第四の行動は、安心・安全なまちづくりです。阪神淡路大震災から20年余の間に、東日本大震災をはじめ、熊本県や鳥取県での大規模地震が現実化しました。近い将来、南海トラフ巨大地震の発生が懸念されていることに加え、超大型台風の襲来やゲリラ豪雨なども多発しております。また、強風で拡大した糸魚川市での大規模火災の例のように、人災に自然の驚異が重なり発生する大規模な災害もあります。災害を正しく恐れ、あらゆる方面に目配りして備えることが、一層求められています。
南海トラフ巨大地震にかかる被害想定は甚大なものですが、人命最優先を旨として、被害を極小にとどめる地域の取り組みを加速します。「自分の命は自分で守る、家族の命は家族で守る、地域の命は地域で守る。」自主防災組織への支援や防災研修、防災リーダーの養成を推進し、児童生徒への防災教育、避難訓練の参加者拡大にも一層力を入れてまいります。そうした住民主体の防災の取り組みの中から、課題が見えてまいります。その声を大切にしつつ、高い津波が予想される地区の避難路整備や避難路カラー塗装、太陽光発電式避難灯整備を進め、避難時のボトルネック解消に努めるとともに、淡路広域防災拠点の備蓄食料や防災資機材備品の即時活用体制を堅持し、避難所の装備充実を図ります。
「しなやかに耐え、いち早く立ち直る」強靱なまちづくりに向けた継続的な取り組みも重要です。兵庫県津波防災インフラ整備計画で重点地区に指定されている福良港、阿万港、沼島漁港などの整備を国・県と連携し引き続き推進します。更に、昨年から県と協働しております「防災ベッド」や「耐震シェルター」など、部分的耐震化への助成、簡易耐震診断の推進及び耐震診断に基づく建替や改修への支援等を推進します。
あらゆる災害対策において、正確な防災情報の収集と情報伝達力の向上は必要不可欠です。デジタル防災行政無線による、戸別受信機の設置や屋外拡声器及び防災監視カメラによる迅速な情報伝達体制の適切な運用管理を図るとともに、全国瞬時警報システム(Jアラート)やひょうご防災ネット、衛星携帯電話を活用し防災情報を発信します。また、福良港津波防災ステーションの遠隔監視・自動操作体制を堅持します。
南あわじ市消防団、その存在は心強い限りです。昨年は第25回全国消防操法大会ポンプ車の部で準優勝に輝くなど消防操法技術は全国屈指のレベルを誇ります。雨具等消防団員の装備品の充実を更に図っていくとともに、消防設備の維持管理や老朽化した機器等の入れ替えを引き続き進めてまいります。
安心・安全な住民の日常生活を支えるインフラの維持向上も重要です。道路や橋梁などについて、引き続き、長寿命化工事や点検などに取り組むとともに、重要路線の整備や安全確保のためのグリーンベルトやカーブミラーの設置及び維持管理等も進めます。また、港湾の内水排水対策事業や地域から多くの要望をいただいております市道の維持修繕、河川及び排水路整備なども順次実施するとともに、排水機場の適正な維持管理に努め、災害対策や住環境の改善を図ってまいります。
淡路広域水道企業団との連携による安定的な水の供給体制を堅持し、下水道事業では管渠布設等の計画的な施設整備及び管理と加入促進を進めます。
また、建設後約50年が経過し老朽化の進む火葬場につきましては、周辺環境との調和を目指した整備を進めてまいります。
防犯対策・交通安全対策も不可欠です。インターネットの普及等によって、振り込め詐欺などの消費者被害は益々複雑化しています。消費生活センターでの相談や啓発を通じた未然防止に努めます。治安維持と交通安全対策については、南あわじ警察署や関係市民団体と連携協力するほか、「こどもあんしんネット」を活用するとともに青色パトロールや地域の見守り活動への支援を継続します。
市内全域における防犯灯・街路灯のLED化が間もなく完了します。LED化は、CO2削減にも資するものですが、更に、カーボンマネジメント強化事業を活用し改定した地球温暖化対策実行計画に基づき、市有施設の大型ボイラーや空調などを精査します。

対話と行動の行政

第五の行動は、「対話と行動の行政」の実現です。行政は、市民が行動しやすいように方向づけとサポートをしていく立場です。職員とともに、市民の皆様と顔と顔でつながり、市民の発意をすくい上げて後押ししていく姿勢を貫きます。
そのため、私自ら、各地区の皆様、事業に携わる各分野の皆様と直接対話する機会を継続的に設けるとともに、市役所内の意志決定を簡潔にし、市職員が極力外部との関係強化に集中できるような体制を整えます。
また、市職員が市民の皆様のイニシアティブを拾い上げ・伸ばしていくアドバイザーとして活動できるよう、担当分野における専門知識を深く理解することはもとより、外部の識者、専門家等とのつながりを強化するよう育成していきます。
このようにして、市民の皆様との対話を基に、正確に地域の課題を把握し、最前線の対処方法を見つけ出し、最適な方法で適用し、執行においては透明性を確保し、公正を貫く行政機能を鍛え上げてまいります。
このような考えを実現するため、自治会との連携強化や市内21地区に設置した交流センターにおける地域づくり協議会活動の支援などのため、市役所の地域協働部門を強化します。一方で、右肩上がりの社会保障費、地方交付税の合併算定替に伴う減少など、市の財源を取り巻く環境は厳しさを増しています。この中で、行財政改革を進めつつ、真に住民に求められる施策を、優先順位をあやまらずに進めていくためにも、対話に基づく行政は不可欠と考えます。厳しい状況においても市民の皆様のご協力による様々な行財政改革への取組みの結果、実質公債費比率等の財政指標は徐々に改善しております。今後も健全な財政運営への取組みを進めるため、平成28年度末に策定予定の第3次行財政改革大綱に基づき、改革を前進させてまいります。また、新庁舎における住民サービスの提供が2年を経過しようとしております。これまでの集約化による成果や課題を踏まえ、住民サービスの利便性向上に向けて、組織改編も視野に入れて検討してまいります。
定員管理計画に基づき職員数の適正化に取り組みつつ、市民との対話を強化するためには、職員の資質向上と、市役所の事務執行の合理化が不可欠です。これからの地域創生は、市民の皆様と行政職員が協働して戦略を練り上げ、新たな仕組みを構築していく作業です。行政職員は、複雑多様化する地域のニーズをくみ上げ、専門知識を持って対応できる能力が一層求められます。職員のさらなるスキルアップを目指し、人事評価システムの活用や国家資格等取得補助をはじめとする人材育成に努めます。また、市役所の事務執行については、意識改革による迅速かつ効果的な意思決定の実践と、電子入札による入札・契約事務の効率化をはじめとする事務の効率化の両面から不断に改善してまいります。
歳入の確保におきましては、平成30年度から県下で開始される個人住民税の特別徴収の一斉指定に向け特別徴収を推進し、徴収率の向上を図るとともに、滞納事案に厳正に対応してまいります。更に、未利用財産の売却や広報紙等への民間広告掲載の推進を図るとともに、起債残高の縮減に向けて積極的な繰上償還と事業の取捨選択を行い、起債の発行抑制や積立金の適正運用により、将来世代に大きなつけを回さないよう、歳入・歳出両面での努力をしてまいります。
正確でタイムリーな情報発信も大切です。広報紙やホームページ、ケーブルテレビなどを通じた情報発信に努めます。マイナンバー制度については、コンビニエンスストアにおける証明書発行の開始など利便性の向上を図るとともに、マイナンバーカードの発行推進に努め、情報セキュリティについてもソフト・ハード両面から万全を期してまいります。

平成29年度歳入歳出予算

以上の方針のもとに編成した平成29年度の歳入歳出予算は、

一般会計 「261億8,000万円」(前年比+0.1%)

特別会計 「219億1,475万2千円」(前年比-3.1%)

(内訳として)

  • 国民健康保険特別会計  85億4,571万8千円
  • 介護保険特別会計 50億8,188万5千円
  • ケーブルテレビ事業特別会計 7億5,433万6千円
  • 下水道事業会計 58億688万円
  • 他9特別会計 17億2,593万3千円

合計「480億9,475万2千円」(前年比-1.4%)

冒頭申し上げましたように、平成29年度当初予算の編成にあたっては、市の運営方針に従い、緊急性と優先順位を精査し、継続事業に重点的に財源の配分を行い、予算を編成いたしました。所信に基づき新たに取り組むべき課題については、庁内に部局横断的なプロジェクトチームを設置し、チームワークを持って実施する体制を整え、案件に応じた着手、構想づくりに取り組んでまいります。

むすびに

松下幸之助氏は、「水の流れも澱めば腐る。経営も日に日に新しい流れがなくてはいけない。そうでないと、衰え、進歩が止まってしまう。」との言葉を残されました。人口減少、少子高齢化、地域創生の推進など、私たちが直面する課題への対応は簡単なものではありません。しかし、流れを澱ませ、立ち止まるわけにはいきません。常に新たな知恵がないかを考え、前進・進化していかねばなりません。
本市誕生から12年、干支でいうと一回り、1世代が経過しました。前の世代の資産を活かし、停滞させることなく、酉年での更なる飛翔を目指してまいります。
議員各位には、国の地方創生政策や県の改革による影響、市の現状をご理解賜り、慎重審議のうえ、適切なるご議決をいただきますようよろしくお願い申し上げ、私の所信表明と市政への取組みといたします。

平成29年3月3日

南あわじ市長 守本 憲弘

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