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令和6年(2024年)2月 南あわじ市長 守本 憲弘
最大震度7を記録した能登半島地震では、多数の人命が失われました。心からご冥福をお祈り申しあげますとともに、被害を受けられた多くの方々にお見舞い申しあげます。
発災から1カ月が経過した今も続く避難所生活。混乱が続く中、多くの方々が支援を求めています。
災害時の衛生的で安全なトイレ環境の確保は、被災者の心身の健康維持を図る上で非常に重要な課題です。実際に過去の災害(阪神・淡路大震災、東日本大震災など)では、悪化したトイレ環境により、避難者が水分等を控えたり、十分な水分補給ができないことなどによって発症する、心筋梗塞やエコノミークラス症候群に起因した「災害関連死」が大きな問題となりました。本市は発災後、いち早く市職員3名と市所有の自走式水洗トイレカーを珠洲市へ派遣することを決定し、被災地での支援活動を行っています。このトイレカーは、通常のトイレの他に、車いすの方も利用できるよう垂直昇降機を装備しており、多機能トイレを利用いただけるほか、オストメイトの方も利用できるようになっています。一日に約1,000回分利用でき、「本当にありがたい、トイレカーが到着するまでは水分等を制限していたので健康状態に不安があった」「清潔なトイレが利用可能となり本当に安心」「子どもが仮設トイレを利用できないためトイレカーの話を聞きつけ利用している」など、多くの利用者の皆さまから安堵と感謝の言葉をいただいています。まだたくさんの支援が必要な状況ですが、日々の派遣職員の活動報告から、その支援の一役を担えているのではと感じました。
本市では、岡山県など西日本に大きな被害をもたらした「平成30年7月豪雨」の際、静岡県富士市がトイレトレーラーを倉敷市に派遣し支援を行ったことなどを参考に、令和2年にトイレカーを導入しました。今回は、そうした常日頃からの備えが他地域での災害支援にも役立つことが明確になり、兵庫県や他自治体でもトイレカー導入の検討が始まっていると伺いました。
南海トラフ巨大地震は30年以内に70~80%の確率で発生すると言われています。今回の支援活動を通じ、自らの地域を守るためにも他自治体との応援ネットワークを維持強化しておくことが重要であるとあらためて実感しています。市民の皆さまにおかれましても、今回の地震を他人事とすることなく、今一度災害への備えをご確認いただきますようお願いします。