ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地トップページ > 市長の部屋 > ふれあい市長室 > 平成30年度 > ふれあい市長室(156)

本文

ふれあい市長室(156)

印刷用ページを表示する更新日:2018年10月3日更新 <外部リンク>

地域の宝 淡路人形浄瑠璃

平成30年10月 南あわじ市長 守本 憲弘

 人形劇を通じた国際的なネットワーク組織として、フランスやスペインなど欧州を中心に10か国15都市※が加盟する「人形劇の友・友好都市国際協会(AVIAMA)」という団体があります。国内では淡路人形とも関わりが深い長野県飯田市が創立メンバーであり、この8月、同市では人形劇のまちとなって40周年を記念し、世界人形劇フェスティバルとそれに併せてAVIAMAの総会(欧州以外での開催は初めて)が開催されました。
 南あわじ市も飯田市長に招かれ、オブザーバーとしてその国際会議に参加し、加盟が承認されましたが、淡路人形浄瑠璃発祥の地としての本市の知名度と、AVIAMAへの参加に対する期待の高さに少々驚かされました。実際、淡路人形座は、従来から世界中に巡業し、好評を博しており、今年10月にも、日仏友好160周年記念行事「ジャポニズム2018」において日本を代表する地域伝統芸能としてパリ公演を行います。
 昨年の着任以来、私も、先月号で紹介した姉妹都市の米国セライナ市の市長・議員はじめ、海外のお客様を何人も淡路人形座に案内していますが、例外なく、その魅力に感動されます。私は、その背景に二つのものがあると考えています。一つは、劇場全体の「別世界」性です。日本文化の深層を伝える人形、語り、三味線の音が醸し出す「異質の空間」に浸る経験と言い換えてもいいでしょう。もう一つは、それを支える確かな芸術性です。世界的ヒットのミュージカル、「ライオンキング」の演出家が、淡路人形座に滞在し、学び、動きを取り入れたことでも、世界に通じる表現力の高さが現れていると思います。
 一方、地域住民が、どこまでこの資産を活かしていこうとしているかという点では、まだ向上の余地大と感じます。AVIAMAの各市では、それぞれの人形劇を中核としたお祭りで国際的にも発信しています。飯田市の世界人形劇フェスティバルも、2,000人のボランティアからなる民間の実行委員会が中心となって、世界中の人形劇を呼び込んだ市民あげてのイベントです。
 淡路人形浄瑠璃は500年の歴史を持ち、現在でも小中学校、高等学校の部活動で後継者に引き継がれているなど、人々の意識には保存していくべき地域の伝統芸能として定着しています。ただ、これまでの淡路人形座は、日中の観光客を想定した興行中心であり、多くの住民が身近な楽しみとして訪れる場とはなっていなかったと思います。
 こうした現状を打破しようと、最近は、休日の夕方などに、新演目をお披露目したり、講談とのコラボに挑戦したりと、地域住民が楽しめる企画に意欲を燃やしています。新たに地元から入った3人の新人も太夫、人形遣いとして頑張っています。
 この淡路島の貴重な資産が、地域住民に愛され、かつ、世界に発信する大きな宝物となるよう、皆さま方と一緒に応援して参りたいと思います。

※総会前の加盟数。総会後、南あわじ市を含め2か国4都市が新たに加盟